第二部 vs.にんげん!
第21話 もう、いいよ。
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係ないじゃん! そういう事言い出すのはあんまりにも卑怯だよ!」
「ジェシカ!」
「もうさ……」
ジェシカはテーブルに両肘をつき、頭を抱えた。
「もうさ……あたし達がしてきた事、何だったんだよ……。今も柱を探してるシャルンやルカ達もさ……何のために……」
顔を上げる。激情が去った後のジェシカの顔は、起きて一時間と経っていないとは思えぬほど疲れて見えた。
「もう、いいよ……」
ガチャッという音が、階段から聞こえた。
振り向いたウェルドは硬直し、呼吸すら止める。
会わなければならないと思っていた、同時に、会う事を最も恐れていた男が立っていた。
バルデスだった。
もう一度、ガチャッと金属の肩当てを鳴らし、彼は凭れていた壁から背中を離す。
「クムランに聞いて来てみれば、案の定コレだ」
ウェルドは思わず目を伏せた。
「先が思いやられるぜ、これから俺がいなくなって、お前等大丈夫なんだろうな」
「いなくなるなんて言わないでくれよ……」
パスカの言葉にバルデスは首を振る。
「覚悟の上だ、仕方ないさ。自分で選んだ結果だからな」
健康そのものの姿に見えた。左腕に巻かれた包帯以外は。そこに滲む血膿の色と、その臭い以外は。その左腕は、やはり心臓より下にやると痛むらしく、首から布で吊っている。
「ウェルド」
それでも大剣を背負い、胸当ても肩当ても装着している。
この男は戦士なのだ。それ以外の生き方も死に方もない。
彼が教会にいなかったわけが、ウェルドには今わかった。
「本当はどうしたい?」
バルデスは歩いて来て、言った。ウェルドは椅子に座り込み、頭を抱えた。
「本当もクソもあるかよ……。俺だって嫌だよ。あいつに会いてぇよ。あいつはいつでも……正しい事が言えるからな」
肩まで伸びた髪の中に指をいれ、掻き毟る。
「何で一番いて欲しい時にいねぇんだ、あいつは……」
「正しい事なんかありはしねぇ。ウェルド、パスカ、お前ら……お前らが考えに考え抜いて得た答えこそ正しい。その答えがそれぞれ違ってもいいんだ。俺はそう思うぜ」
バルデスは右肩を竦めた。
「自分と違う意見を認めろ。お前らはこれからも協力しあっていかなきゃならねえんだ。そうだろ?」
パスカの顔が赤くなる。彼は唇を噛み、目を伏せた。
「ウェルド、お前もだ。柱を壊すなっていうのもただの綺麗事じゃない。何が起きるかわからないこの町で、誰かが仲間を見捨てるというのは、そいつに自分も見捨てられる可能性がある事を意味しているからな」
「じゃあ、どうすりゃいいんだ」
それは……さっき、自分で考えろと言われたばかりだ。
「もう少し、自分の気持ちに正直になってもいいと思うぜ。それからもう一つ知らせがある」
頭を抱えるのをやめ、顔を上げる。
「開門
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