第二部 vs.にんげん!
第21話 もう、いいよ。
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、ウェルドは地下室を出た。
町に人の姿を見かけるようにはなった。町が変わってしまった事が理解できる程度に。だが、バルデスとクムランには、未だに会えていない。
そんな頃だった。
「おおい! ウェルドとノエルってのはいるかい!」
ある晩、誰かが宿舎の戸口で呼ぶので、ウェルドは自室で顔を上げた。誰かが地下の食堂から上がって来て、来訪者に対応する。やがて足音が部屋の前まで来た。
「ウェルド、少しいいですか?」
エレアノールの声だ。ウェルドは戸を開けた。
「何だい」
「あの方が……あなたとノエルにご用があるそうです」
「俺がっつーか、クムラン先生に呼んできてくれって頼まれてよ。そんでもう一人は?」
「ノエルは、今は出てこられない状況です」
エレアノールは戸口の男に言った。
「私が代行します。構いませんね」
「まあ、構わないかどうかは俺じゃ判断できねえけどよ。じゃあ来るだけ来てくれや」
クムランの家に行くと、暗い屋内に、クムランとサドラーが立って待っていた。
「よう、ウェルドに……ノエルってのはあんたか?」
「いいえ、私はエレアノールと申します。ノエルが出歩ける状態ではないので代理で参りました。構いませんか、クムランさん」
「ええ……」
久々に見るクムランの顔は蒼白で、気鬱に覆われており、心ここにあらずといったところだ。勧められるまま近くの卓を囲った。クムランが内鍵をかける。
「で、先生、凶戦士化した人間を集めてどうしようっていうんだい?」
サドラーが警戒を含んだ口調で口火を切る。クムランはそんな彼の真向かいに座った後、机の上で組んだ指をじっと見つめる。
その指をほどいた。
「恨み言を言う為に呼んだわけではありません。ご安心ください。それに、今では落ち込んでいられる状況でもなくなってしまいました」
クムランが三人を見る。その目に思いもよらぬ強さがあり、視線が合った時、ウェルドは思わず身じろぎした。
「ウェルドさん、エレアノールさん、サドラーさん。あなた達は外界の魔物出現の件はご存じですね」
「俺は字が読めねぇからよ、昨日壁新聞の内容をツレに読んできてもらったところさ。それで?」
「私は、あなた方に残酷な選択を強いる事になります。シェオルの柱の件ですが……」
ウェルドは黙って先を促した。
「みなさんの魂を閉じこめていたシェオルの柱が破壊された日付と、外界で魔物が出現した日付。これがぴたりと一致する事に、最新の情報からわかりました。柱の破壊と魔物の出現に因果関係があると見なして良いでしょう」
背筋に緊張が走り、ウェルドは机の向かいに座るクムランへと身を乗り出した。
クムランは続ける。
「魔物の出現は一本目の柱を破壊した後も断続的に起きていますが、二本目、三本目を破壊した日には、とりわけ大
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