第126話 宴 前編
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申し訳ございません。私は武辺者にて、強き者と相見えることが唯一の楽しみでございます。正宗様の武勇を聞き及び一度手合わせの機会をいただきたいと思った次第です」
蒼鈴は冥琳に恭しく頭を下げる。その態度に冥琳は額に青筋を立てた。正宗は面倒そうな表情をしながら思案顔になる。
「余興か」
「正宗様!」
揚羽は正宗の様子に悪いを予感を感じたのか彼に声をかけた。
「蒼鈴、手合わせしてもいいぞ」
「真ですか!?」
蒼鈴は正宗の言葉が予想外だったと思ったのか驚いた様子だった。
「正宗様!」
冥琳が正宗につめよるが正宗は怯まなかった。
「蒼鈴。余興であれば勝者には褒美が必要と思であろう。私が負ければお前の願いを一つ聞いてやろう。お前は私が勝った暁に何をくれる?」
蒼鈴の顔を窺った。
「褒美でございますか?」
「そうだ。私はお前の願いを一つ叶えてやるといっているのだ。お前も相応の褒美を差し出す必要があるな?」
正宗は意地の悪そうな笑みを浮かべる。彼は自らの武に自負があり、蒼鈴を倒す自信があるように見えた。蒼鈴は正宗の提案に困惑している様子だったが、彼の表情を見て自分が侮られていると感じ怒りを感じている様子だった。
「私は自分自身を賭けさせていただきます!」
蒼鈴は正宗の挑発に乗り豪胆な行動にでてきた。武を志す者として引けないと思ったのかもしれない。しかし、揚羽がこの手合わせの件に横槍を入れてきた。
「柯最殿。あなたは鮮卑の大帥です。正宗様に自分自身を質にいれることはできないではありませんか? 褒美として渡せぬモノを差し出すなど絵に描いた餅。意味がありません。この手合わせは無しです。正宗様、よろしいですね」
揚羽は柯最を無表情で淡々と矢継ぎ早に指摘し、何か言いたそうな柯最に発言を許さなかった。次に正宗を黙らせるような怖い視線を送ると彼は揚羽の視線に沈黙し頷こうとした。
「正宗様、司馬大守、お待ちを! 正宗様、褒美の品の質をお下げくださいませんか?」
蒼鈴はしつこく手合わせを望んできた。これに揚羽と冥琳も何か気づいたのか表情が無表情になる。正宗も何か気づいた様子だった。
「ふふ。蒼鈴、これ以上見苦しい真似は寄せ。大帥としての面子が立たぬであろう」
正宗は一物ありそうな笑みを蒼鈴に送った。
「く、わかりました。しかし、機会がございましたら手合わせをお願いできませんでしょうか?」
蒼鈴は正宗達の様子に、これ以上のごり押しは無理と悟ったようだ。しかし、会話の最後で再度手合わせを願いでてきた。
「そうだな。鮮卑王が私との手合わせを許可し、それで私が勝利した暁には蒼鈴を私に差し出すというのであればな」
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