第126話 宴 前編
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の露出が多い艶やかなチャイナドレスで随所に豪華な刺繍が施されていた。間近でみる彼女の肌は色白く、瞳の色は青色、髪色は黒でストレートに下ろし衣服と相まって妖艶さを醸し出していた。正宗は彼女の露出度の高い胸の辺りを直視するなり一瞬視線を泳がせた後、彼女の顔へ視線を写し動揺を隠すように平静を装った。正宗の様子に彼女は艶やかな笑みを浮かべた。
「清河王は『英雄色を好む』故事に違わぬ女色家と聞き及んでおりましたが噂はあてにならぬものですね」
柯最は正宗のことを見透かすように微笑を浮かべた。彼女は正宗の風聞を調べるためにわざと艶やかな装いを選んだのもかもしれない。それを確認する術はない。しかし、彼女の普段の好みの装いという可能性も捨てきれない。事実、彼女は着ている服を着こなし、羞恥心を感じている様子は無いようだ。
「柯最、お前の知る噂の内容はだいたい想像がつく。噂とは得てして尾ひれがつくものだ。私も有名になったということであろう」
「烏桓族征伐の折りは千人の女を献上させたことは噂ということですか?」
柯最は嫌らしい笑みを浮かべながら言った。
「いいや事実だ。女を献上させたが手をつけてはいない。私に仕える烏桓族の女部将に生活の面倒をみさせている」
正宗は敢えて部将でなく女部将と言った。
「正宗様は」
「私は女は好きだぞ。だが、人を弄ぶことが嫌いなだけだ」
正宗は真面目な表情で答えた。
「清河王は清々しゅうございますね」
柯最は正宗に好感を抱いた様子だった。その表情は先ほどまでの艶やかさと違った優しい表情で正宗のことを見つめていた。
「褒めても何もでんぞ。今更、過去のことを持ち出したところで私を糾弾できる者はいない」
「聞けば下した烏桓族の部族長を側室になされたと聞いております。この宴の席にはご参加されるのでしょうか?」
「久方ぶりの盛大な宴だ。故郷を離れ気苦労絶えないであろうから気晴らしに参加させることにした。揚羽、難楼はまだか?」
「正宗様、準備に手間取っているのでしょう。宴が始まるころには来ることと思います」
「清河王は本当にお優しい。ご側室が羨ましゅうございます。敗軍の者に過分の情けは増長を招くと存じます。これは出過ぎたことを申しまして申し訳ございません」
柯最は正宗と揚羽のやり取りを観察しながら烏桓族への仕置に関して苦言を呈した。
「目出たい席だ。今回は差し許す」
「清河王、ありがとうございます」
柯最は悪びれもせず正宗に笑みを返した。彼女は正宗がこの程度のことで気分を害すとは思わなかったのだろう。
烏桓族と鮮卑族には因縁がある。鮮卑族は精強で現在の勢力は漢人も無視できない勢力となっている。それは烏桓族にとっても同様だった
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