第五十五話 思春期H
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い?
「あの、先輩、まさかそれ……」
「くっ、この紙を見るとドキドキしてしまう。レティ・ロウランか、……きゃー!」
「きゃー、じゃなーい!? それたたんでください! 今すぐたたんでください! それを見せながら告白って、すでに恋人の域を天元突破していますからッ! 順序良く王道にいきましょう。俺もしっかりお手伝いをさせてもらいますからァーー!」
先輩の暴走を必死に止めた、俺の努力を誰か褒めてくれ。とりあえず、まずは恋愛の順序について教えることになったのは、言うまでもなかった。
そんなこんながあったが、例の紙はたたんでもらえました。
「先輩、相変わらず斜め上ですねー」
「いい案だと思ったんだが…」
「気持ち込めすぎですから。最初は、もうちょっとソフトに込めてあげてください」
「そういうものか。……焦りすぎたか?」
レティ先輩は俺の言葉に、考えるようにうなずいてくれた。俺は頼んでおいたジュースを飲みながら、思考を巡らせる。恋する女性はすごいって聞いたことがあるけど、これは確かにすごい。彼女の場合、今は気持ちが先行して空回りしているのだろう。普段なら暴走はしても、頭の中では冷静に計算をする人だ。計算の仕方が時々おかしい時もあるし、愉快犯なところは多少あるが、理性は結構強い人である。
「まぁ、まずは相手のことを知るのがいいんじゃないですか。レティ先輩って美人だし、かっこいいし、頭いいし。ハードルは下がると思いますよ」
「……そういうことを、真顔で言うな。ちなみに聞くが、後輩は私が告白したら受けるのか?」
「…………」
「そこで無言になるな!」
すいません、素で返答に困りました。
「なんだ、何が無言の原因だ!?」
「いや、えっと、そういう対象に見ていなかったといいますか。俺にとっては、頼れる先輩というか、ぶっ飛んでいる先輩というか、校則破壊神な先輩というか……」
「遠まわしに拒否っているだろォ!」
チャイムの音がつまらないからって、クラッシックを流し出したのは誰ですか。3人組が訓練所の壁に大穴をあけてしまった時、名所申請して、『ここで告白をしたら、相手のハートもぶち抜きます』と噂を流して、伝説を故意に作ったのは誰ですか。
「あー、というか俺のことは置いといてください。少なくとも、中等部を卒業して、2、3年ぐらい経つまでは、恋愛とかできそうにないんで」
「はっ? 卒業してって、16、7歳ぐらいまでしないつもりか。……何かトラウマでもあるのか?」
「ははっ、そんなものはないんで心配いりません。俺だって、彼女は欲しいですし。ただ、ちょっと俺自身の問題なんですよ、精神的な」
誰が悪いわけでもなく、問題は俺自身だろう。まず、子どもを恋愛対象に見ることができない。俺が付き合い
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