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少女1人>リリカルマジカル
第五十五話 思春期H
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魔法を発動させ、爆心地から離れた場所へと転移していた。

 その流れを呆然と見ていたレティは、助けてもらったことにようやく実感が戻っていった。そして、救助に来た彼を見て、思わず声を荒げてしまった。

「仕方がないだろ。爆発の中に突っ込めば、多少の火傷ぐらい負う。これぐらい、あの廃スペックと訓練をしていたら、いくらでも出来るぞ」
「それだ、私は大丈夫だと言ったぞ! 私のミスに、お前まで巻き込まれることはなかった!」
「仲間を、友人を助けるのに理由などいるか。助けが欲しいときはちゃんと言え。……まったく」

 お互いに4年間、友人として過ごしてきた。彼女が意固地なことを、彼が真面目なことを、お互いが知っていた。最初に出会ったのは、初等部の運動会の時。その時は敵としてライバルとして競い合い、中等部でも激突した。そして、管理局へと就職した彼らは、同じチームを組む仲間になっていた。

 彼女としても、彼の生真面目さは知っている。だから、彼の言葉に他意はなく、本当に自分を助けるために来てくれたのだとわかっているのだ。本来ならすぐに感謝の言葉を述べるべきだと頭でわかっていても、素直に口に出すことができなかった。

「かっこをつけるな、っていうがな……そういうお前はどうなんだ。普通、仲間のためとはいえ飛び込んでくるか? お前だって、かっこつけだろう」

 思わず言ってしまった言葉に罪悪感を感じながらも、レティは視線を地面へと落とす。助けてもらいながら、悪態をつくなど自分自身に嘲笑が浮かんだ。

「……そうだな。確かにお前にとっては、余計なお世話だったかもしれない。同じだ、と言われてもその通りだとしか言えないだろう。だが、俺は自分の行動をお前に謝るつもりはないし、助けたことを後悔するつもりもない」
「助けた側が文句を言ってきているのにか…?」
「俺は騎士になるために、ベルカ式の学校へ行き、精進してきた。歴史書に載っている騎士たちに憧れ、いつかあんな風になりたいと夢見たんだ。俺が助けたいと思ったから、助けてみせる。かっこつけだろうと、夢見がちなやつだと言われても、それ以外に理由などない」

 それにな、と彼は破れてしまっていたレティのバリアジャケットの上に、デバイスから取り出したコートをそっとかけた。今まで何故か目を逸らされていると思ったら、今の自分の姿を思い出し、発狂しそうになった。チラリズム満載で啖呵をきっていた少女であった。

「……まぁ、なんだ。傷つくお前を、見たくなかったのも理由に入る。友人が傷つくぐらいなら、俺がその傷を受け止めてやる。……騎士として、男として、少しぐらいかっこつけさせろ」

 レティの頬についた熱傷を、彼はヒーリングを唱え、治していく。簡易な処置しかできないが、温かい光が彼女を包み込んだ。彼の言葉に、
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