第三章 二話 スカーバレル幹部総会
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主張であったが。
そのなかで最も自説を主張していたのは、バルフォスがエルメッツァのラッツィオという方面で好き勝手暴れていた頃の旧手下である。このバルフォスの旧手下は珍しいことに略奪品の取り分けの主張をしなかった。
バルフォスがスカーバレルと対抗した0Gドッグに叩き潰され、這々の体で逃げ出した際置いてけぼりをくらい、治安強化のために送り込まれたエルメッツァ中央軍の大佐の苛烈な取り締まりからなんとか逃れて中央まで辿り着き、まだ逃げる逃げれずラッツィオで潜伏しているスカーバレル残党のためにラッツィオからのスカーバレルの全面引き上げを主張した。
「ラッツィオじゃあ、オムスのクソ野郎が取り締まり強化なんてふざけたことしてくれたおかげでおまんまの食い上げなんだぜバルフォスの旦那。買収してたテラーとかいう軍人も逃げちまったしよぉ…んで、ロウズってえ田舎に狩りに行った連中も戻らねえ。どうにもなんねえんだよな…もうラッツィオからは完全に引き上げちまった方がいいんと違うか?」
バルフォスとてこの旧手下をほっぽり出して逃げた手前あまり強いことを言えずにいる。
しかし、それに口を挟んだのは老獪さに定評のあるアルゴンである。
「そりゃいい。さっさと引き上げさせるといいヨ」
「よかったよかっ…」
「脱出の手引きはキミがやるといい。取り締まりが厳しいだろうが言い出しっぺだからネ。頑張るといいヨ」
絶句するバルフォスの旧手下を黙らせるとアルゴンは本題に入った。
「そんじゃあはじめようカ。まずは……そうだネ、アレがいい。拉致って来た女の取り分けだヨ」
*
フォス・マティ 大広間
不幸な拉致被害者達が海賊達にどのように遇されたかは各員の想像に任せるとして、海賊達は略奪品の取り分を怒号や苦言や苦情や罵声や咳払いやブラスターの発射音をBGMとして評議した結果、なんとか双方納得のいく取り分けをすることに成功していた。これは狡猾さでは人後に落ちないアルゴンの卓越した舌先の成果である。
先ほどなんとも言えぬ威圧感とスカーバレルのような底辺の海賊とは思えない威厳で場を取り仕切っていたロデリック老人は、拉致被害者が災難にあう少し前に退室している。
以外と誇り高いタイプの海賊なのかも知れぬ。
それはともかく、略奪品の取り分けを自艦に積み込んで各々のいわゆる【ヤサ】に戻るべく、幹部達はぞろぞろと大広間を出て行った。
それを見送るはファズ・マティの首魁、アルゴンである。彼としては満足のいく量の略奪品を分配させることができたので今回の幹部総会は御の字の結果で終わったとかんがえている。
惜しくらむはスカーバレルに対抗する0Gドッグの小僧とやらが他の幹部の数を減らして分配量を増やしてくれなかったことであろう。死ねばいいとは思いつつ容易に実行
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