第三章 二話 スカーバレル幹部総会
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なったあたりで一人前という認識さえある。
そこに、その海賊コンビの首魁たるバルフォスが手下を引き連れてやって来た。塗装途中の自らの艦を見てホクホク顔である。
「ぐふふふ…ようできとるようできとる」
「ありがたき幸せ!」
「ありがたき幸せでやんす!」
ペンキ塗りの二人はやって来たバルフォスの前にて平伏する。
「続けろ二人とも。さっさとこの船をこのバルフォス様が乗るに相応しい艦へと染め上げるのだ!」
「へへー」
「へへーでやんす」
ペンキ塗り二人は早速ハケとペンキ桶を両手に磁力履を履いて艦体底部を縦横無尽に駆け回り黒塗りを続けて行った。
「ぐふふふ…」
塗装作業を眺めるバルフォスの脳裏に浮かぶのは彼を打ち負かした生意気な小僧を、この新たな艦でコテンパンに叩きのめして鼻水と涙の海に沈めてやるという常人の感性からすれば愉快ならざる妄想である。
そんな風にバルフォスが復讐を誓いニヤニヤと危ない笑顔を浮かべているドックのすぐ隣には、スカーバレルの幹部が扱うことがよくあるゲル・ドーネ級巡洋艦のアルゴン仕様が係留してある。
この巡洋艦はミサイル装備が充実しており、レーザー対策が進んだ昨今の艦船においては実弾こそ大きな脅威になるという点を利用した水雷艦からの一変種である。
その主たるアルゴンは未だ大広間で他の幹部達とよからぬ話をしているので今は乗艦してはいない。
現在は整備途中なのかミサイルハッチに実弾をしこたま詰め込む作業がやはり下っ端達の手で行われている。
そしてその隣、スカーバレルの幹部達のそうそうたる艦船がズラリと並んでいる。その中で一際異彩を放つ艦が一隻。
どう見ても段ボールを幾つかくっ付けて作ったような単純だが堅牢な造形の艦がある。
辛うじて残る元型艦の名残からどうやらカルバライヤのドーゴ級戦艦を改造したものであることがわかるが、ドーゴ級の最大の特徴である艦首部の超遠距離砲撃用のユニットは取っ払われており、カルバライヤ艦船の前提装甲技術であるディゴマ装甲配置を想定した曲線的な艦形を排している。
これが、先の幹部総会で場をまとめていたロデリック老人の乗艦【ゴライアス】である。
艦船設計士の資格を持つ白野がこの艦を見れば、その剛直な艦形と超遠距離砲撃用のユニットを外した思い切りの良さを賞賛したことだろう。
そのゴライアスに、ロデリック老人が手下を引き連れて乗り込んで行った。老海賊の出陣である。
*
ファズ・マティ 大広間
バルフォスが新造艦を前にホクホク顔になり、ロデリック老人が改造戦艦に乗り込み出陣し、他の幹部達も続々とドックの乗艦に集う四時間ほど前、ファズ・マティの大広間で幹部総会はなかなかヒートアップしていた。
殆どは自分達の略奪品の取り分についての
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