第三章 二話 スカーバレル幹部総会
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老人はスカーバレル幹部のなかでも高い地位にいることがわかる。
「いや」
答えるバルフォスの声は硬い。それを聞いて老人は手下の間で流れている噂が事実であると確信したようである。
「お前さんが子供にしてやられたという話だ」
それを聞いて、他の幹部達がザワザワと騒ぎ始めた。
「なんと…」
「どういうこった?」
「子供に?冗談だろ」
否定的な囁きが多い。バルフォスは面目が潰れたと思ったのだろう。渋い顔をしていた。
「そうむくれるなバルフォスよ。お前さんはまだ生きているのだからその小生意気な小僧を叩き潰し機会を失ったわけではあるまい。そやつが仮に我らに再び牙を剥くというのならば今度こそ身の程を知らせてやれば良いではないか」
この老人、どうやらスカーバレルで相当な影響力を持つ人物のようである。荒くれ者の集まりであるスカーバレル、そしてその幹部連中が完全に一目置いている。
彼が話しているときは他の幹部もザワザワと騒ぐのをやめて話に聞き入っているのだ。狡猾で有名なアルゴンですらそうである
「儂の手下を使うがよい。罠を張り小僧を仕留めるのだ」
「感謝する、ロデリック老…」
「うむ、うむ」
ロデリックと呼ばれた老人は頷き、好々爺のような表情を浮かべて一同を見回した。
「さあ、兄弟達よ。我らスカーバレルの力を生意気なエルメッツァの軍人どもや0Gドッグ共に見せつけようではないか」
そして、酒の入ったグラスを掲げた。一同もそれに続く。
「乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
彼に合わせ、他の幹部達も唱和する。海賊達の宴が始まった。
*
人工惑星ファズ・マティ 内部
ファズ・マティには海賊が必要とするありとあらゆる設備が揃っている。酒、女、賭け事に麻薬。その他にも人目を憚る快楽を得る手段が多種多様に入り乱れているが、ネージリンススカーバレルの生き残り、ドミニコとキトは残念ながらまだ下っ端なのでどれも無縁であった。
ネージリンスから這々の体で逃げ帰って来た彼らの新たな親玉となったのはエルメッツァ中央で勢力を振るうスカーバレルの幹部、アルゴン・ナバラスカである。
そして、彼が取り仕切る拠点で海賊幹部の総会を行う以上、幹部やその手下への接待は遅滞なく行わねばならない。
アルゴンの手下は現在フル回転で人工惑星内部を駆け回りコンパニオンの真似事に従事していた。
「酒が足りねえぞ!」
「ただいまでゲス!」
「クスリくれぇ」
「はいはいただいまでゲス」
「おんなはどこだぁ!?」
「向こうの部屋でゲス!」
このようにコンパニオンに甘んじているのはドミニコの腰巾着のキトだけであったりしたのだが。
「おい、キト」
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