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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百七十六話 準備進行中
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てきた部隊である。

その為に見捨てられたかんが有り軍規の乱れも甚だしい状態で有り、士官が率先して婦女暴行や物資横流しなどに手を染める状態と成っていたが、帝国暦482年に当時の司令官ヘルダー大佐からマーテル中佐に指揮官が交代し、補給などに関しても改善されると、元々の精鋭としての意識向上に繋がり、同盟軍の総攻撃を跳ね返る働きをしていた。

この度、テレーゼのイゼルローン要塞への同盟軍誘引によりほぼ確実に前哨戦で撃滅されることが予測されたために、全帝国人の撤収が行われたのである。

「ノルトラントの勇者達よ、10年の長きにわたり御苦労様さまでした」
テレーゼの労いに、艦隊員以上の驚きを隠せないノルトラント旅団。

「卿等の、活躍を知りながら、放置し続けた者共はこの儂が直接折檻してきた。長い間苦労をかけて済まなかった」
オフレッサーからの折檻話では皆があり得るあり得るという顔をし、謝罪では驚くだけである。

「卿等の活躍を鑑み、全員を二階級昇進させる事になった」
エッシェンバッハの話には、全員がやっと報われると言う表情である。

そして、代表者としてマーテル大佐がテレーゼの前に呼ばれて直接話しかけられる。
「エルヴィン・マーテルであります。皇女殿下の格別のご配慮に全将兵に代わり感謝致します」
見事な挨拶を行うマーテルであったが、次の瞬間テレーゼから発せられた言葉に耳を疑う。

「マーテル少将、御苦労であった。しかし卿等をこのままオーディンへ帰す訳には行かぬのじゃ」
マーテルは瞬間に、皇女の意図を推測した。既に少将で呼ばれてる点、即ち二階級昇進とは生きて帰さぬと言う事なのかと、所詮貴族にしてみれば俺達は単なる塵芥でしかないのかと。その事を考え、次第に顔色が白くなる。

テレーゼの言葉とマーテル大佐の様子を見ていた、旅団員にも緊張が走るが、直ぐに大笑いに代わるのである。
「殿下、それだけでは判りますまい」
言葉が足りませんぞとエッシェンバッハが指摘する。

「おお、そうで有ったな。マーテル少将、卿等の雪焼けした顔色やその窶れ姿を家族などに見せるのは忍びがたいのでな、二ヶ月の休暇と一時金を与える故、最初の一ヶ月間はリゾート惑星クックスハーフェンで、英気を養ってから家族の元へ戻るが良いぞ。無論家族に直ぐに会いたいのであれば、家族を呼び寄せることも可能じゃ、無論無料でじゃ、卿等が希望すれば差配致すぞ」

此でもかと言う様な屈託無い笑顔で、話すテレーゼに皆が、天使を見るようなまぶしさを感じていた。そして殆どの者が思った。“この方こそ、我々の苦労を知って下さるお方”だと、此により更に支持者を増やすテレーゼであった。

絶望からすくい上げ、希望を見せておきながら、再度絶望を与え、その後助けるという、宗教で良くある方法で、
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