狩りその2
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ない小細工ですね……次こそは逃がしませんよ御使い様……)
更にギアを上げて速度を増す周泰、暁が捕まるのは簡単かと思われた
あれから暫くたったが周泰はまだ暁に天誅を下せていない
それどころか最初の余裕などはなく疲労と焦りが見えていた
おかしい、何かがおかしい
見えている、確かに見えているのに何故か追い付けない
付かず離れずの距離を保たれたまま酷い時は挑発や欠伸をしている
むきになって追いかけても距離は縮まる事はなく更に体力を無駄に消費した
限界まで酷使した身体を休ませる為に立ち止まると荒れる呼吸が肩を激しく上下させる
(そろそろ夜明け間近だし早く捕らえなきゃいけません……)
焦りと不安が自身の状況判断力を鈍らせたのか、迂闊にも足元の警戒を怠った
踏み出した一歩は巧妙に仕掛けられた罠を起動させた
(こんな事今まで一度も無かったのに【バキャ】はっ!?)
ヒヤリと背筋に冷たい物が流れる感覚、長年の勘が警告を発し慌ててバックステップするも時既に遅し
片脚に何かが巻き付きバランスを崩されるとズルズルと凄い勢いで地面を引きずられ
そして周泰は天地が逆さまになり後頭部への一撃で意識が飛んでしまった
(やれやれ……筋は悪くないがまだまだ甘いな)
目の前にぶら下がる周泰を木の枝でツンツンしながら暁はぼやく
こんな小さな子供が海兵隊顔負けの技術を持ってると思うと複雑な気分になるからだ
常識が通用しないのは理解しているのだが中々納得は出来ない
なんかリアルなリカちゃん人形みたいだな……すぐにぶっ壊れちまいそうだ
暫くツンツンしているとうわごとでお猫様お猫様と言っているが……そんなに猫が好きなのか?
しかしこれからどうするか……?つい流れに任せて色々やっちまった
取り合えずはこのお嬢ちゃんを何とかして今後の事は祭に任せりゃ何とかなるな
ふんっと腕に力を入れてロープを引っ張り少し高めに固定した
少し休憩すっかな……、腰から水筒を取りだすと一気に中身を飲み干した
「お猫様……うにゃ?此処は?私は一体……」
「よう、気分はどうだお嬢ちゃん」
「御使い様?何でそんな所に?あと頭がズキズキします」
「まぁ何で逆さまなのかは俺じゃなくて嬢ちゃんが逆さまで宙吊りだからだ、頭が痛いのも多分それが原因だな」
「あ……ご親切に有難うごさいます……ってえぇ!私どうして!?逆さま?!」
ジタバタとぶら下がりながら暴れだす周泰だが粗末なロープがギシギシと悲鳴をあげる
宙吊りになっている高さはそこそこ高い5m程だが真下の地面は岩だ
落ちたら只ではすまない場所をしっかりと選定してある、まぁ職業病だな
「おい、あんまり暴れんじゃねぇ!ロープが切れちまうぞ!」
「え?」
劣化したロー
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