第三章
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感情もない。
そんな国だった。そしてだ。
全てはクロムウェルが管理していた。政府も議会も裁判所もだ。彼の言葉こそが正義と信じ彼の言葉を実行するだけだった。
「ではこの法案に賛成の方ご起立下さい」
下院議長が言うとであった。全員すっと席を立つ。そうして。
「満場一致で可決しました」
これで終わりであった。何もかもがだ。
そうした国になっていた。確かに豊かで何でもあり文化もある。内戦はおろか差別や民族問題もない。国内のあらゆる民族が平和で平等に暮らしていた。
だが誰も表情はなくただ動いているだけだった。そんな国だった。
そうした国になったこの国はだ。何もなくなっていた。あるのはだ。ただクロムウェルの言う道徳と清潔があるだけだった。
やがて彼が鎖国をし外からの一切の汚れたものを排除すると言った時。この国はもう誰もが知ることのない国になった。
清廉潔白、だがその先にあるものはだ。人ではなかった。人がいる国ではなかった。ただ機械だけがそこにいたのであった。
清廉潔白 完
2010・9・7
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