第一話
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あちらも作戦を変えるだろうが、紅き翼は絶対に出張ってくるだろう。タイミングは殲滅魔法で戦力が大幅にダウンした時だと考えられている。以前まで辺境の地に飛ばしていたことから、連合はあまり紅き翼を投入したくない、手柄を取られたくないと考える者が多いはずだ。実際こちらでもそうなのだから。
「じゃあさじゃあさ! ボク、なぎってのとヤる!」
「だからダメですってば」
「えー……」
立ち上がって手を挙げて立候補していたレヴィだったが、シュテルのその言葉に意気消沈して拗ねたようにテーブルに顔を乗せる。頬を膨らませてブーブー言っている。
何と無く可愛く思えたフールが彼女の頭を撫でて、嫉妬した参謀と王が彼の足を踏み付ける。されているレヴィはご満悦だが。
「……私、レヴィ、フールで紅き翼を一人ずつ撃破していきます。運が良ければ、一度の決着で紅き翼のメンバー二人を戦場から離脱させることができます。帝国軍には時間稼ぎと連合軍の対処をしてもらう手筈になっています」
「私はどうしますか?」
「ユーリには王の側にいてください。いくら王と言えど魔力の消耗は免れません。回復させてから私たちに合流を。作戦通りに行けば、紅き翼の誰かを本当の意味で撃破できます」
「分かりました」
ユーリは強い。それこそこの場にいるマテリアル四人で挑んでも勝てないだろう。以前のように暴走して安定していない状態ならいざ知らず、今の彼女はまさしく世界最強。紅き翼に対して一人で立ち回ることだってできるのかもしれない。しかし、それをできない理由がある。
「それと、この戦争を裏で操っている連中と帝国軍にも注意を」
そう、ユーリは帝国軍と以前フールの前に現れた男――プリームムへの牽制だった。戦争で最も怖いのは強力な敵ではなく、背中から撃ってくる味方と不意打ちをしてくる第三勢力だ。
「これで私からは以上です。何か質問はあるでしょうか?」
「はーい。結局ボクはどうすんの?」
「……私たちと敵を倒す。それだけを考えてください」
「分かった!」
アホの子レヴィにシュテルはため息を一つこぼして、視線をディアーチェへと向ける。王から皆への、激励の言葉を言って欲しいというアイコンタクトだった。ディアーチェはそれに応じて席を立つ。
「我らがこの戦争に参加する以上負けはあり得ん。そろそろ世界に我らの力を示すのも良い頃合いだ。――勝つぞ」
『イエス、マイロード』
――それから三日後、グレートブリッジ防衛作戦が決行されることとなった。
◆
突然だが、俺は自分が異常だと常々思っている。戦闘になるとあり得ないぐらい思考がクリアになるし、感情を表に出すことができないし、そしてそれを疑問に思っていない。
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