第一話
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のだろう。マルチタスクを五つほど行使して考える。
我が闇の力は……。
ダメだ、痛すぎる。
あのような塵芥、取るに足らない。
さっきシュテルが強敵と言った。そんなことを言ったら彼女がどう思うか。
うんうんと唸って、考えに考えて、結局フールが出した答えは……。
「俺が……私が、貴方の臣下だからです」
放棄だった。もうなに考えてもしゃーねーや、と。
だから何も考えず感情のままに言ってみた。するとこのような言葉がスルリと出てきた。
「……うむ、そうか。次の戦では期待しておこう」
しかし本人の心配とは他所に、ディアーチェは満足げに頷く。どうやら彼の答えがお気に召したらしい。
――自覚していないが、彼が今こうしてこの場にいるのもディアーチェという王がいるから、というのが大部分を占める。いくらマテリアルの構築体としての戦闘データがあるとはいえ、精神はただの一般人(普通に人を殺すことができている時点で一般人とは言い難いが)。それなのに、これから戦争というのに逃げ出さずこの場にいるのは、安心できる存在――ディアーチェがすぐ側にいるからだろう。彼が思っているよりも、彼女の王としての器に惚れ込んでいるということだろうか……。
「あー! フーくんばっかりズルい! ボクだってそのなぎ・ずぷりんくふぃーんどって奴に勝ってみせるもんね!」
「ナギ・スプリングフィールドです、レヴィ」
「そう言えば、その方とレヴィは似てますね。色々と」
ユーリの言葉にシュテルとディアーチェは頭の中にナギとレヴィの相対図が組み立てられる。
性格、共に楽天家。悪く言うとおバカ。戦闘スタイルは遠近共にゴリ押しで雷を使う。そして度々単独で突撃する傾向あり。
怖いぐらいに一致しており、二人揃って苦笑い。
「二人をぶつけるのも面白そうですが、今回はそうもいきません」
「えー!? なんでなんでー!?」
「レヴィ。戦いで大事な何よりも戦略です。如何に個人の力が強かろうと、大局での勝利には何ら影響を及ぼさないのです――では、今回のグレートブリッジ防衛作戦の概要を説明します」
ある日、散歩に出ていたフールが捕らえた敵の諜報から得た情報から、急遽このような作戦が立てられた。連合軍の大規模転移魔法を使ったグレートブリッジ奪還作戦。そしてそれに参加する紅き翼。この二つが諜報から得ることができた情報だ。
もしもフールが偶然この者をとらえることができなかったら、この作戦自体立てられず、あっという間に敵にグレートブリッジを奪還されていただろう。しかしその前に知ることができた。帝国の王はフールに感謝し、軍関係者からも頭を下げられたものだ。
閑話休題。
今回ダーク・マテリアルズたちに与えられた仕事
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