影と絶
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ふっ!」
「やあぁぁぁ!」
俺が短い呼気と共に放った右手の剣による突きはユウキの手が霞む程の速さの斬り払いによって弾かれた。
見え見えのこの一撃はあくまで牽制。故に全く力を入れた突きでは無かったのだが、こうも完璧に弾かれるとはさすがの実力だと再確認。
反転して襲い掛かってきた斬り返しを右手を引き戻しつつ左手の剣を振り上げることで左下に流す。
流されて上体の浮いたユウキに向かって今度は右手の剣でユウキの胴を右から薙いだ。
しかし、上体を流されながらもしっかりとそれを捉えていたユウキはわざと仰向けに倒れかけることでその剣の下をくぐることに成功する。
そして、そのまま地面に着いた右手を起点に片手倒立。勢いそのままに後方へ待避され、追撃の左手の剣による袈裟斬りをかわされてしまった。
再び距離が開き、仕切り直しとなる。
ユウキの構えはさっきよりも切っ先が上がってより攻撃的な上段へ。俺は右手の剣を鞘に戻して、左手の剣は変わらず肩に担いだ状態。
今度は先程のように開始の合図があるわけでは無かったのにも関わらず、跳び出したタイミングはほぼ同時だった。
ユウキの正中線を狙った振り下ろしを左手の剣で弾く。
するとユウキはそれを想定していたかのように……実際にしていたのだろうが、弾かれた瞬間に腕ごと剣を回転させ、間発いれずに斜め上からの袈裟斬りを放ってきた。
「……ふっ!」
だが、俺はそれを無視し、一気にユウキの懐に潜り込む。肩に強い衝撃を受けるが、速度が出切る前にぶつかっていったため多少はダメージを抑えられたような気がする。
そして、驚愕で目を見開いたユウキの無防備な脇目掛けて右手の剣を抜き打ちした。
「……チッ」
思ったよりも(・・・)吹っ飛んでいくユウキを見ながら剣が当たった時の衝撃の軽さを反芻し、思わず舌打ちが飛び出す。
……インパクトの瞬間、後ろに飛んでダメージを軽減しやがったな。
俺のHPは今ので5%弱程減った。ユウキは7%程度。あまり差はないがこれが後々効いてくると信じている。
「無茶するね。まさかボクの攻撃を無視するなんて」
「想定以上にユウキが強くてな。こうでもしなければ当てる自信が無かった」
肉を斬らせて骨を断つという感じだろうか。
鋼糸や魔法を使えばまた別だろうが、純粋な剣のみの戦いならば乾坤一擲の構えをとらなければならないのだ。
……ならば次で決めよう。
本来のスタイルであるカウンター型を捨て、防御を捨てた超攻撃型に。たまにはこういうのも悪くない。
欲を言うならこのままユウキと舞っていたいが、一瞬で決めるのが一番良いならば、それがいい。
俺は力を抜いて自然体に。無駄な力を入れず、特別な構えも取
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ