心の強さ
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ち込んだような雰囲気が伝わってきて明日奈が慌ててフォローを始める。
「まあ、もともと俺らは有名人だ。あまり気にしなくてもいい。……さて、どこに行こうか」
全くプランがないので少々途方に暮れる。ただ真っすぐ家に帰るのも味気ないし……どうしたものか。
「ボクはどこでもいいよ?ずっと病院だったから街の様子を見ているだけで楽しいし!」
「私もユウキさんに同じです」
「それが一番困るんだがな……」
料理等でも同じことなのだが、何がいい?と問われてなんでもいい、と答えるのが一見質問者にとって嬉しいことのように見えるが、実のところ一番質問者にとって困るのだ。
決まってないから意見を聞いてるのになんの協力が得られないのはとても辛い。
「んー……とりあえずダイシーカフェ?」
便利だな、ダイシーカフェ。
「ユウキとユイは映像と聴覚しかないんだから食料品が絡むところはやめた方がいいだろう」
「あっ、そっかー。なら困っちゃうね……」
「あ、ボク、行きたいところがあるんだけどいい?」
今まで悩んでいたらしいユウキがこちらを伺うように控え目な声を出した。
「うん、いいよ。どこに行きたいの?」
「横浜の保土ケ谷区、月見台ってところなんだけど……」
†††
西東京市から電車を乗り継いで最寄りの駅である星川駅に到着するにはかなりの時間を要した。
ユウキが行きたいのだから別に明日奈とユイまでついて来る必要はないと思ったのだが、それを口にすると明日奈は強い口調で拒否。
有無を言わせぬ様子でついて来た。
やはり電車内でも好奇の目を向けられたのだが、居心地が多少悪いだけで誰も気にすることはなく、明日奈、ユイ、ユウキはたわいもない話をしていた。
ちなみに俺は基本的に聞き手で適当に相槌を打ちつつ、要所要所で口を出していたのだが、最終的に無理矢理会話に参加させられてしまう。まあ、たまにはいいか。
「んー……結構時間がかかったね」
電車内でじっとしていたからか、電車を降りてホームに降り立つとすぐに明日奈は腕を大きく上にあげてストレッチ。
都心はゴミゴミとした首都圏も少し都心から外れると途端に自然が増えるという中々に面白い特性を持っている。横浜の保土ケ谷区月見台もその例には漏れず、自然が結構多く、空気も澄んでいる。
「明日奈、一応家に連絡を入れといたらどうだ?」
そう言いながら俺も家にいるであろう直葉にメールを打つ。食べて帰るから夕食は必要ない……と。こう言わないと律儀に待ってるからな、直葉は……。
「あ、うん。そうする。ネットに繋いでおけ
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