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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十七話 覚悟と選択する道 前編
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摺られる。
 その影響か、一瞬だけ士郎の仮面が崩れた瞬間をプレシアは見逃さなかった。

 しかし

「……わかったわ。
 貴方がそう決めたのなら。
 ほぼ完治したとはいえ、あまり無茶をしないようにね」
「ああ、ありがとう」

 それ以上口には出さず鍛冶場を静かに後にした。

 プレシアとて士郎が拒絶されるのは本意ではない。
 しかしプレシアが最優先するのは士郎ではなく、最愛の娘であるフェイトである。

 フェイトが士郎を拒絶することになれば、プレシア自身もまた士郎の下を去ることになる。
 だからこそ、これ以上踏み込むことが出来なかった。

 鍛冶場を後にし、再び屋敷に戻ったプレシアを待つ存在があった。

「プレシア、貴方はどうするつもりだ?」

 静かにその真紅の瞳をプレシアに向けるリインフォース。

(直接接している時間だけで考えれば一番短いはずなのだけど)

 その瞳に一切の迷いも困惑もないことに内心首を首を傾げる。
 だがそれも一瞬

「私にとっての最優先はフェイトよ。
 士郎と共にいるかもフェイトに委ねるわ。
 ただ……」

 一瞬、瞳を閉じるも正面からリインフォースの視線を受け止めるプレシア。

「彼の在り方はあまりに危ういわ。
 だからかしらね、私個人で言えば共に歩んでいければと思っているのも本当よ。
 貴方はどうなのかしら」
「私は士郎に命を救われた。
 そして、彼の歩んできた道をここにいる誰よりもわかっているつもりだ。
 それでも私は士郎と共に行く」

 リインフォースの言葉にようやく合点がいくプレシア。

「蒐集と共に記憶を読み取ったのね」
「それも断片的にはあるが魔術的な士郎とのつながりでわずかだが夢という形で見た」

 士郎がリインフォースとの契約を結び、意識を失い目を覚ますまでの間にわずかな休息ということで士郎のそばで浅い眠りについたリインフォースが見た夢。

 それは黒い太陽が浮かぶ地獄であった。

 その瞬間、リインフォースは跳ね起きていた。

 全身が冷や汗に濡れ、荒い呼吸を繰り返す。
 数秒に満たない夢。

 戦場を歩いた記憶がある。
 絶望をしたことがある。
 だが生きながら地獄を歩いたことはなかった。

 深呼吸をして震える手を握り締める。
 己にはない記憶。
 そして、現在自身と魔法・魔術的なつながりを持つのはただ一人。
 そばで静かな寝息を立てる新たな主である士郎の記憶なのだとすぐに理解した。

 生まれたのは恐怖。
 この地獄を生き残り、自然と笑うことが出来る士郎に対する恐怖であった。

 だが次に生まれたのは欲求と覚悟。
 士郎が超えてきた地獄を理解したい、士郎の背負うものを知り
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