第七章
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をやった。満席のその中で一つだけ空いている席がある。そこに目をやり一人呟くのであった。
(そこで見ていてくれ)
こう。笑っている面の下から白銀のものが一条流れ落ちた。しかしそれに気付く者は誰もいなかった。
後にこの日の舞台は市五郎にとっても白峰にとっても一代の名舞台と謳われた。この日から白峰は生ける伝説とまで呼ばれるようになり市五郎も能の第一人者として知られるようになった。しかしそこには一つの拭うことのできない悲しみがあった。だがそれは決して誰にも見せることはなく誰にも語ることはなかった。ただ能面の下にそれはあり決して見せはしない。それだけのことだったのだ。誰にも言わず。
能面 完
2008・11・16
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