空白期 第6話 「大切な家族」
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はやては頬を膨らませる。本気で怒ったりしていないと分かってはいるが、俺は彼女の頭をポンポンと叩いた。ここでスルーしないのは、これまでの付き合いで身に付いてしまった対はやての習慣なのだろう。
「撫でてくれたほうが嬉しいんやけど」
「そこまでしてやる義理はない」
「っ……今のでこピンはもっといらんよ。馬鹿になったら責任取ってもらうからなぁ」
「今ので馬鹿になるならすでになってるだろ」
などと会話していると、大人の笑い声が聞こえてきた。声の主を探すと口元に手を当てて笑っているシャマルを見つける。
「シャマル、どうかしたん?」
「いえ、久しぶりに会ってもおふたりは本当に仲が良いと思いまして」
「まぁ前にもしばらく会わんときはあったしなぁ。それに別にケンカしたわけでもないし、仲が悪くなったりはせんよ」
さらりと言ってくれるものだ。こちらは顔を見るまでは緊張していたというのに……今でもこれまでに自分の知り合いを家に招くことがなかったので緊張していると言えばしているが。
「あらあら、言いますね」
「中途半端な返事やと何かしら言われるからな。こういうことはビシッと言うとかんと」
「昨日久しぶり会うのに大丈夫かな、って言ってたとは思えねぇ口ぶりだよな」
「ん、そうなのか。……主がそのような心境だったのならば、家を出るのに妙に時間がかかったのも納得できるな」
「それは違うんじゃねぇか。あたし、はやてが服装とかで迷ってるところ見たし」
「ちょっ!? ふたり共、それは言うたらアカンやつや!」
他愛のない会話のように聞こえるが、はやてにはそうでもなかったようで見る見る顔が赤くなった。俺と視線が重なると赤みはさらに増し、必死に言い訳じみたことを言い始める。俺にひととおり言った後にシグナム達に文句を言ったのは言うまでもない。
不機嫌になってしまったはやてを全員であやしつつ歩いていると、見慣れた我が家が見えてきた。そのことをみんなに伝え、外見の感想を聞いている内に玄関の前に来る。扉を開けようと手を伸ばすと、突如触ってもいないのに扉が開いた――
「――……ん? 誰かと思えばショウか」
家から出てきたのは、ところどころボサボサのままで髪を結んでおり、目の下に隈がある女性。考えるまでもなく俺の叔母だ。
白衣姿のままということは、何か忘れ物を取りに来たのだろう。俺に届けてくれるよう電話などで頼まなかったのは、今日は予定があると前もって伝えていたからに違いない。
「何か忘れ物?」
「まあそんなところだよ……おや? 真昼間から女性をこんなに連れて家に招くとは感心しないな」
「それって子供に言うことじゃないよな?」
「ここで何で? と首を傾げないところが君が子供らしくないことを証明しているよ……自己紹介く
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