第二章
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くしたような感じで鏡合わせと言ってもよい程だ。その少女が白いベッドの中に横たわり彼に顔を向けているのだ。その横の台には花瓶があり紅い花が咲き誇っている。彼はその彼女に対してあるものを差し出してきた。
「今日はな」
「ドーナツなのね」
「ああ。好きだったよな」
「ええ」
ミスタードーナツの箱が彼の手にある。少女はその箱も見て微笑みを見せたのである。
「有り難う。今日も来てくれて」
「毎日来るって言ったな」
礼を述べてきた妹にこう返しながら彼女のベッドの側に椅子を置いて座った。部屋にいるのは二人だけで完全な個室だった。部屋も白くやはり清潔であるが生命の匂いは何処にもなかった。完全に無機質で味気のない、そんな部屋に二人でいるのだった。
「だから。気にするな」
「そうなの」
「そうさ。それでドーナツだけれどな」
「うん」
話をドーナツに向ける。佳代子もそれに応えて頷く。
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