その名が意味するものは
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ら生える”蛇は――――――元は髪だった。
「はぁ・・・」
生まれ持った、“髪を蛇に変える力”。
それは、自分の髪の毛1本1本をローズピンクの鱗の蛇へと変える、メドゥーサのような力だ。
だが―――――そんな怪異な力が、世界で通用する訳がない。
その力があると知られた瞬間、少女はバケモノと称されるようになった。
(私はただ・・・スプリガンとファンガスキャップの群れから、街を守ろうとしただけだったのに・・・)
あの日の事は、昨日の事のように覚えている。
邪悪で陰険な性格、体当たりで敵を転ばせて毒の粉を振りかける、人の手では作れない布をフードやローブとして装備している魔物・スプリガンと、普段は無害なキノコのフリをしているが、敵が近づくと飛び上がって猛毒の胞子を噴き出す空飛ぶ毒キノコ・ファンガスキャップが突如街に襲い掛かってきたのだ。
魔導士の少ないこの街には魔物に対抗出来る戦力が無かった。
(だから・・・)
だから、少女は決心した。
隠してきた力を使おう、と。
それで街が守れるのならば、怖い事なんて無いはずだと必死に自分に言い聞かせて。
親や友人が止める中、少女は戦いの最前線に立ったのだ。
(・・・なのに)
唇を噛みしめる。
彼女の蛇はよく働いてくれた。
スプリガンとファンガスキャップを、1体残らず倒したのだ。
相手は確かに多かったが、髪の毛1本1本を蛇へと変える少女の蛇の数は軽く千を超えて敵の数を上回り、その戦闘力も高く、何度噛み千切られようと復活する不死の蛇だった。
だが、それが町民に更なる恐怖を与えてしまった―――――――。
―な・・・何だ、あれは!―
―蛇・・・髪が蛇になってやがる!―
―恐ろしい!きっと呪われているんだわ!―
―不吉な!アイツは呪われている!この街に災いを呼ぶぞ!―
―まさか今回の魔物も、コイツが呼び寄せたんじゃ・・・―
―そうだ!そうに違いない!―
―あの娘は人間のフリをしたバケモノだ!―
―消えろ、バケモノ!―
(違う・・・)
―ち、近づくな!こっちに来るなっ!―
―アンタ、ウチの亭主を呪うつもりかい!?来るんじゃないよっ!―
―不気味な娘だ。よく今までおめおめと生きていられたな!―
―うねうねしてて気持ち悪いよー!うあああああんっ!―
―大丈夫よ、落ち着いて・・・バケモノめ!とっとと消えろ!―
―この街にお前みたいなバケモノの居場所はない!―
(違う・・・!)
助けて、と声を出したつもりだった。
だが、その声は誰にも届かなかった。
救済を願う声は罵殺に掻き消され、踏み潰され、砕か
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