第37局
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だぜ…。先は長いってのにさぁ」
「まぁまぁ、元気だしなよ。先は長いんだからさ!」
「そうだよ。結局総当りで全員対局するんだからさ。強い相手と早めに終わらせとくのもある意味よかったんじゃないか?」
奈瀬と本田の慰めに、真柴は大きく伸びをすると深く息を吐いた。
「俺を負かした相手に言われてもなぁ…。ま、そうでも思わないとやってられないよなー。終わったもんは仕方ないか。何とか喰らいついていくしかないもんな。上位同士の対局もこれからだしな」
そんなことを話していた院生たちに、院生師範の篠田も声をかけた。
「そうそう、連勝も良し悪しだよ。連勝してた子が1度負けた拍子にズルズルと連敗なんてのもよくあるしね。今は勝ち負けはあまり気にしないほうがいい。負けた碁を引きずらず、勝った碁におごらず、1局1局しっかりと自分の碁を打つことだ」
篠田師範の言葉に、各自が頷いた。
和谷は思った。
−そう、まだまだ始まったばかり。5勝1敗は決して悪くない。ここからだ。
和谷の横で、真柴も篠田師範の言葉をかみ締めた。
−1局1局しっかりと…、か。ま、今はそうするしかないよな。引きずっても仕方ない。自分の碁を打つしかないんだもんな。気合を入れなおさないとな。
本田もまた、対戦表を見ながら考えていた。
−…そうは言っても6連勝が4人しかいないのも事実だ。俺を含めたこの4人がトップ争いにかかわるのは間違いない…。塔矢と伊角さんは予想していたが、奈瀬がここまで調子いいとはな…。だが、俺だって6連勝、悪くない。
−今の私は間違いなく調子がいい。ヒカル君たちとの勉強の成果が、間違いなく出ている。外来の初めての人が相手でも、落ち着いて自分の碁を打てている。この調子だ。この調子でいけばいい。この調子でいければきっと…。
昨年までは感じる事ができなかった確かな手ごたえを、奈瀬は掴んでいた。
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