8-1話
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グのどこに、食材が入る余裕があるのだろうか?
疑問は尽きないけど、元気を保つには食べておかないといけないので、朝食に同意した。
これまたどこに入るスペースがあったのかショルダーバッグからフライパンを取り出し、火にかけて調理にかかろうとする。
その時だった―――。
「―――!」
小さな影が飛びかかってきた。
反射的にその影が見えたが、目で追う事はおろか腕一つ反応する事ができない。
重力の流れを追い越して目にも留まらぬ俊敏な動きで、木の上から飛び出してきた影は私達の方へと向かってくる。
「―――疾っ」
その素早く動く影に対して、ジェニアリーさんは凄腕ガンマンを思わせる反応速度で動いた。
輪郭がブレるほどに速く振り向くと、袖から何かが飛び出してそれを手の中に収まると影を狙って振るわれた。
それは瞬きのような短い瞬間、影を叩き落す直前―――。
「っと…君、か」
ジェニアリーさんの緊張感が解けた声と、腕が静止されたのは同時だった。
影はジェニアリーさんの手元でピョンとワンバウンド跳ねた。
既の所で止めたジェニアリーさんの手元で影が足場にしたのは、柄だけの…刀身のない剣?らしきモノだった。
その刀身のない柄の上に影は再び着地して、私はそこで初めてその影の正体を見た。
それは縞模様をさせたリスのような小さな生き物だった。
リスと違って尾は細長く、先っぽは筆のように毛並みが膨らんでいて結構可愛い…けど初めて見る生き物だった。
もしかしてこの動物も、絶滅動物なのだろうか?
でも…。
「(よかった…)」
ジェニアリーさんが持っているモノは一応鈍器にもなるから、こんな小さな子を叩き落とさずに済んで私はホッとする。
しかし…私が安堵しているのとは逆に、ジェニアリーさんの表情を変えた。
こんな場所にいながら飄々と平衡を保っていた表情は、訝しげに強張って柳眉を寄せる。
「なぜここにいるの…?」
その子を知っているかのような口ぶりで、柄の上に乗っているリスのような動物に問いかける。
言葉を喋るわけでもないのに、対話をするかのような真っ直ぐな視線だ。
小動物は鼻先をもたげ、ジェニアリーさんと視線を交差させ、それには何かのやりとりが成立しているかのように見えた。
私はその様子を見ているしかない。
言葉も声もないコミュニケーションを前に、当惑して口を挟む事が出来ずにいた…だけど……ジェニアリーさんの口から、私にとって聞き逃せない言葉が出てきた。
「―――…仙石達に、何かあったのね」
「えっ………?」
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