8-1話
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を信じてくれるような子?」
「え…それは……なんで…」
「答えて。 その子は、貴女の事を何があっても信じてくれる人なの?」
こくり、と私は頷いた。
「なら信じなさい。 “あなたの信頼を買ってくれる彼らこそ信用しなさい”―――byシンディ・フランシス」
ジェニアリーさんは言葉端に人名を付け加えた。
今の言葉、どこか別の誰かのセリフを持ってきたかのような口ぶりだった。 格言、というものなのだろうか?
「その子は貴女が必死になって捜すほどの相手なのでしょう? それなら、りおんが求める助けはそこにあるわ」
「…アキラ君が…助け―――?」
「そ。 男の子は、女の子を護るものでしょ? 特に、やるべき事を残しているのなら尚更ね」
―――“死ぬべきじゃない、やるべき事、やり残した事がある…そう思える部分があるのならその子を強く信じてあげなさい”
昨日、ジェニアリーさんにかけてもらった言葉を思い出した。
アキラ君は大切な幼馴染…。
事故が起きてすぐ傍にいない事に気付いて周りに聞いて回った…旅客機の非常口から放り出されるアキラ君を見てしまい、どこかで生きてほしい、絶望しながら探しまわった。
いっそ森へと飛び込んででもアキラ君を探そうと思っていた……生きているかどうかもわからないのに、私は錯乱しても彼を探そうとしていた。
でも、そんなアキラ君だから…もしかしたら今でも生きていて、私の事も必死で探してくれている?
だとしたら……。
「……私、アキラ君と…会いたいです…」
「うん」
「皆がおかしくなって…こんなわけのわからない所にいるけど…アキラ君に会いたい」
「うん」
「アキラ君が無事だって事が知りたい…私が無事だって事を知ってもらいたいです…!」
「うん。 それでいいわ」
私の答えをよしとしてくれたのか、ジェニアリーさんはハーブティーを飲んで頬を柔らかくさせた。
「右も左もわからなくても、歩ける事は出来るでしょ。 少なくともその気持ちだけでね」
意固地になって事実を認めないで蹲るよりはマシ…うん、そうだろう。
アキラ君は死んだかもしれない、後ろ向きな悪い考えに流されて変な想像ばかりしていた。
うん…もっとしっかりしないといけない。 私はそんなに弱くないんだから。
信じよう。 アキラ君の事を!
「…はいっ!」
「元気のいい返事ね。 さて…お腹空かない? 米はないけど、パンならあるわよ?」
空気を切り替えて、ジェニアリーさんは朝食を提案してきた。
卵やらベーコンやらをショルダーバッグから取り出して、どれがいい?とジェニアリーさんは訊いてくる。
それはいいんだけど…コーヒーポットやらマグカップが入っていたそのショルダーバッ
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