8-1話
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一体何を見て何を体験すれば、そんな“視線”から世界を見れるのだろうか。
「こんな世界だけど、貴女はどうする? 何か特技とかある?」
「え、あ…ハイ、体操部をやってます」
「体操部。 体操部かぁ…厳しいわね。 しなやかな筋質はしてるけど、格闘してるソレじゃないのね」
「……?」
どういう事だろう?
特技があるから何だと…。
「貴女、自分で自分を守れる自信ある?」
「え…」
唐突に突きつけられた質問に、私は体が強ばった。
「え、じゃないわよ。 こうなったからにはなるようになるしかない、と言うか猶予がないの。 親にも警察にも国にも頼れない、そういった庇護が届かないのよ、ここでは。 それじゃあ自分で自分を守れる? 自力ではそれもできない。 じゃあ、貴女はどうやって自分の身を守れるの?」
「そ、それは皆で力を合わせれば…」
「皆って、どこの誰の皆?」
「それは…………飛行機の乗っていた皆とかっ…!」
そうだ。 あの怪物に襲撃されたけど、きっと生き残っているだって大勢いる。
生徒だってたくさんいる、それなら協力し合えば何とかなるはずだ。
「却下だわ」
「えっ…!?」
だが、ジェニアリーさんはこれを一蹴した。
まるでどうでもいい事かのようにハーブティーを啜った。
「熱っ……むぅ」
ハーブティーを口に含ませた途端、その温度にやられたのか舌を出して熱そうにして眉を顰めた。
ややあって湯気の立つソレを飲むのを一旦諦めて話を続けた。
「…今から戻っても無駄よ、あそこはもう元には戻らないわ。 だから止めときなさい」
元に…戻らない?
「それってどういう…」
「貴女が一人戻ったら、乱暴にされて犯されるからよ」
「お、犯さっ……!?」
この人はいきなり何を言い出すのか!
私はハーブティーを持ちながら、顔を赤くさせて反射的に立ち上がった。
経験がどうだとか言う友人も、背伸びして下世話な事を言う部の先輩もいる。
だからその言葉の意味を理解できないわけじゃない。
「な、何を言っているんですか!」
しかし、私はそれで納得できるかどうか以前に、顔を赤くして反射的に否定した。
怖いモノを見ると目線を逸らすように、私の中では卑猥な類には否定的になって思わず怒ってしまう習性が身に染み付いていた。
「あそこには皆が…先生も、生徒も、クラスメイトもいるんですよ! 何人も大人がいるというのに、そんな…!!」
「今あそこに戻っても、そこにいる人間は友好的な態度を取るどころか女を獲物と見て乱暴してくる可能性が高いって言ってるのよ」
「なんでそんな事がわかるのですか!」
「知ってるからよ、その場にいた貴女も
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