暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
61.5話:取り戻した温もり
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きた皆がぞろぞろと帰っていきました。

その後お父さんも翠屋から帰ってきて、皆で夕ご飯……なんですが、士君は無理に起こさないようにしたので、結局今日の夕ご飯は士君抜きでした。
お母さんが―――というよりは皆士君がいないことに寂しそうにしてました。

それから少しして、時間は九時半ぐらい。
今日はいつもより少し遅めにベットに入ったけど、それでも一時間程経過している。だけどどうにも寝付けない。

仕方ないので一旦体を起こして、水でも飲もうとリビングへ。
それもすぐに済ませて、寝れるかどうか心配になりつつも自分の部屋へと向かい―――

途中で士君の部屋を通りかかった。
今彼はどうしているだろう、と変な好奇心に駆られてしまい、私は静かに扉を開ける。

「………」

静かに寝ている彼の寝顔。部屋は電気が消されていてボンヤリしていたけど、丁度ドアを開けた隙間から入る光で、それだけは見えた。

そこに彼が―――士君がいる。

そう思ったその時には、私は足を踏み入れていた。
ゆっくりと、静かにベットへ近づき、起こさないように慎重に潜り込む。大丈夫、夕ご飯前に身に来た時はかなり熟睡していた。これくらいじゃ起きない筈。

横になっていた士君の体と向かい合う形で、私は体を近づける。『温かい』、彼の体に触れてそう思った。
ここに確かに彼がいる。自分が思い描いた虚像じゃなく、現実に彼が―――帰ってきた。

「…ッ……ッ…」

不意に涙が。心の底から、大声で叫びながら泣きたい衝動が襲ってきました。しかしそれはダメ、彼を起こすことになってしまう。
できるだけ小さく、彼を起こさないように静かに……私は泣き始めました。

「…ッ…ッ、ッ……」

嗚咽が漏れる。彼はここにいるのに、泣くなんておかしいじゃないか。
でも涙は止まらない。止めようと思っても、一向に止まる気配がしない。
だけど…いや、だからこそ気づいた。

私は、士君がまた離れてしまうんじゃないかって、恐れているんだ。

そんな事はない、きっと大丈夫だという思いとは裏腹に、そんな考えがきっと心の奥底にあるんだ。だからこの涙が…不安が止まらないんだ。

それに気づいても、涙を止める術がわからない。困り果てたその時―――

「―――っ!」

不意に、頭に温かいものが。
視線を上げてみると、士君の手が私の頭に乗っかっていた。どうやら寝相の所為みたいだ、彼はまだ寝息を立てていて起きている様子ではない。

そしてふと、私の目から涙が止まっていることに気がついた。
それが驚きによるものなのか、はたまた……頭に置かれた彼の手の、その温もりの所為なのか。

でも私は―――それだけで、どこか安心してしまった。

私はまた彼の胸に額を、顔を当てる。さ
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