第百六十二話 ならず聖その十三
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「そのうえで紀伊を収めるぞ」
「では」
「皆このまま進め」
その本願寺の門徒達の軍勢にだというのだ。
「そして倒すぞ、よいな」
「わかりました、それでは」
「今から」
「うむ、動くぞ」
こう言ってだった、信長は石山のことはまずは置いておいて紀伊の門徒達と戦うことにした、戦いはこれからだった。
しかしその信長を闇から見てだ、彼等は言うのだった。
「これでよし」
「うむ、これでな」
「織田家は我等の影と戦い紀伊を収めねばならなくなった」
「これで織田家の疲れはかなりのものになる」
「石山を攻める余力もなくなるわ」
「石山は生き残る」
それ事態がよいというのだ。
「石山により食い込みたかったがのう」
「いや、それは難しかったぞ」
石山に入り込むことはだ、無理だったというのだ。
「やはりな」
「それはか」
「一時顕如の側近にまで近付くことが出来顕如にも手を伸ばせそうだったが」
すんでのところまでいくことはいったというのだ、しかしそれはどうしてもだったというのである。
「無理だったわ」
「そういえば御主は本願寺に入っておったな」
「そうしようと思った、しかしな」
「それで幕府に近付いたのじゃったな」
「長く生きておるつもりだったが」
その者は無念そうに闇の中で呟いた。
「無理だったわ」
「そうであったか」
「顕如は鋭い」
このことがここで言われる。
「織田信長に匹敵するまでな」
「確かにあの者も鋭いな」
「それでじゃ。近くまで寄れたが」
「怪しいと思われてか」
「遠ざけられたわ、しくじったわ」
またこう言うのだった。
「拙僧が僧侶であっても見破る、いや中々な」
「本願寺も何とかしたいがのう」
「全く以てな」
「あの者達も我等の敵じゃからな」
「絶対にな」
「しかし今はな」
彼等の考え故にだというのだ、今はだ。
「本願寺には生き残ってもらいまだ織田家と戦ってもらわねばな」
「武田や上杉も動きだすからのう」
「うむ、まだ生きていてもらう」
「今暫くはな」
今の本願寺は紀伊以外は石山御坊にしか武力は残されていない、しかしそれでもまだ頭だけは残したいというのだ。
「そして残ってもらい」
「次の大戦に向かってもらうか」
「毛利も動くしのう、その時は」
「全ての色の者達が戦い共倒れじゃ」
織田家だけではない、ここでこうした話になった。
「武田信玄も敵に回すと危うい」
「上杉、北条、毛利もな」
「織田には長宗我部、浅井、徳川がついたしのう」
「伊達、島津はまだ関わらぬが」
「その二家以外には共倒れになってもらうとしよう」
「是非な」
「青にじゃ」
まず織田家の色が出された。
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