第四幕その十一
[8]前話 [2]次話
「決してね」
「食べものを見ても美味しいと思わない為にはお腹一杯になることですね」
「食べものを見ても何とも思わない位にまで」
「そうよ」
まさにその通りだというのです。
「だからこそ今食べてるから」
「お腹に入れられるものは限りがあるんだよ」
モジャボロにしてもです、人間の食べられる量には限りがあります。
「だからね。いいね」
「はい、気合入れて食べます」
「しっかりと」
「そうしよう、お鍋は空にするよ」
すっかりだというのです。
「全部食べるんだよ」
「うわ、これ全部ですか」
「食べないと駄目ですか」
「食べ過ぎはよくないけれど後で身体を動かせばいいし」
それにだというのです。
「誰かに迷惑をかける位ならね」
「食べることですね」
カルロスはそのお鍋の中にお箸を入れつつ言います。
「こうして」
「そうだよ、食べるんだよ」
「わかりました、そうします」
「食べて食べて」
そしてだというのです。
「パンの国に入っても何とも思わない様にしよう」
「このお鍋を空に出来たらね」
それこそだとです、トトはそのお鍋を見上げながらお話をします。見ればお鍋はコンロの上に置かれて火を点けられています。
「皆満腹だよね」
「満腹だとそれだけで最高の幸せになれるわよ」
ドロシーが言います。
「それが幸せの第一歩だから」
「今もですね」
「幸せになれますね」
「そうよ。色々お話しながら食べてるけれど」
ドロシーは恵梨香とナターシャにもお話します。
「幸せでしょ、皆今は」
「はい、本当に」
「幸せです」
実際にです、五人共でした。美味しいものをお腹一杯食べられて幸せな気分です。
それで食べて食べてです、遂にでした。
お鍋が空になりました、カルロスが満足したお顔で言いました。
「もう何処にも入らないよ」
「僕もね」
「僕もだよ」
ジョージと神宝も言います。
「いやあ、食べたね」
「お腹がはちきれそうだよ」
「だからね」
「もう充分だよ」
「ええ、これでパンの国に行けるわね」
ドロシーもにこりと笑って言いました。
「食べるものを一杯食べたから」
「もうパンも何も入りません」
ナターシャも笑顔で言いました。
「満足です」
「じゃあ行こう」
トトが尻尾を振って皆に子えをかけます。
「パンの国にね」
「例えどんな美味しいパンでもね」
「これならね」
「もう大丈夫」
「入るところがないから」
「安心して行けるわ」
「そういうことでね、じゃあ行こうね」
トトは五人に行ってでした、そして。
一行はとても満ち足りた気持ちでパンの国に入りました、もう何を見てもどんな美味しそうなパンを見ても何とも思わない位にまでなって。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ