第四幕その十
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「テレビもね」
「そうなんですね」
「オズはオズよ」
恵梨香達の世界とは違うのです。
「世界の何処かにあるけれど普通のやり方では辿り着けない世界よ」
「それがオズですね」
「そうよ」
まさにというのです。
「私達も普通のやり方ではオズの国から出られないから」
「ああして特別な方法でないと」
「そう、出られないから」
「本当に別の国ですね」
「そうなのよ」
ドロシーは恵梨香達五人にこのこともお話するのでした。
「ここは不思議な国なのよ」
「だから普通のやり方では出入り出来ない」
「そういうことですね」
「そうよ、私もそうなのよ」
かつてはアメリカにいたドロシーもだというのです、今は。
「あの方法でしか出入り出来ないよ」
「あの時計塔からしか出入り出来ない」
「そうなんですね」
「あの時計塔は特別な場所よ」
まさにというのです。
「オズの国とつながっている今のところただ一つの場所よ」
「そうした場所は他にもあるかも知れないけれど」
モジャボロもこう言います。
「今のところわかっているオズの世界と君達の世界をつなげている場所はあそこだけだね」
「そうですか、じゃあ私達があそこに気付けたのは」
「奇跡みたいですね」
「奇跡は運命だよ」
「運命?奇跡が」
「運命なんですか」
「偶然と言うべきかな」
こうも言うモジャボロでした。
「誰もがその偶然に出会って動くことになるんだよ」
「それが奇跡で」
「運命になるんですか」
「僕もオズの国に来たのは偶然だったんだよ」
「私もよ」
モジャボロとドロシーは五人に自分達のそのそれぞれの『偶然)についてお話しました。それはどういったものかというのです。
「たまただドロシーと会って。それで辿り着いて」
「竜巻に運ばれてね」
「それからこの国に住んでいるから」
「偶然は凄いものなのよ」
「人間の力だけではどうにもならないんですね」
偶然が持っている力のことを聞いてです、恵梨香はしみじみとした口調で言いました。
「そうなんですね」
「うん、そうなるよ」
「結局のところはね」
「そういうことですね。それにしても」
また言う恵梨香でした。
「私達も偶然かかしさん達を見てオズの国に出入り出来る様になっていますから」
「そして今私達と一緒にいられるわね」
「偶然に感謝します」
微笑んでこう言った恵梨香でした、他の四人もそうしたお顔になっています。
「心から」
「いい偶然に巡り会えたわね」
「はい、とても」
「ではその偶然に感謝してね」
そのうえでだというのです。
「これからもオズの国で楽しみましょう」
「そうさせてもらいます」
「さて、それではね」
さらに言うドロシーでした。
「次はパンの国
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