Development
第三十三話 蠢く思惑
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が付かなかったらしい。
……今さらだけど、フランスはよくこんな素直な子を潜入させる気になったね。
「あ、そうそう。トイレ使い終わったら基本的に便座あげておきなさいよ」
再び空気が一変する……先ほどとは全く違った方向へ。
デュノアさんは最初なんのことかわからなかったようだけど、僕の方を見て……急にその顔が真っ赤に染まった。視線がやや下のほうに向いている気がするけど、きっと気のせいだ。
「らしくなかったんじゃない?」
デュノアさんが自分の部屋を出ていったあと、僕は楯無さんに先ほど急に話に割って入ったときのことを聞いてみた。彼女は確かに突拍子もない行動をとることはあるけど、あんな風に強引に話を自分に引き込むようなことはしない。もっと自然に、相手を自分の思い通りに誘導していくことが多い。
「そう……ね。ちょっと焦っているのかもしれないわ」
「なにかあったの?」
「……きな臭いのよ。紫苑君も感じているんじゃない? ISの軍事転用禁止。今や形骸化しているこの条項だけど、きっかけはどの国だったか、きっとあなたなら知ってるわよね?」
そう、最初からISが兵器として使われていた訳ではない……まぁ、束さんは恐らく軍事利用されることを見越していたんだろうけど。
日本人である束さんが開発したことで、IS技術は日本が独占していた。それを、ある意味奪うために全世界が共謀して作り上げたのがアラスカ条約だ。
このアラスカ条約には軍事転用やコアの取引の禁止が記されている。でも、これは逆を言えばこのまま日本が条約に調印せずに技術を独占するということは、軍事転用により世界平和を脅かす存在となり得るというのを自ら認めることになる。ある意味、国際世論を人質にとった強引なものだった。
そして、技術さえ確保してしまえばもうこの条約にほとんど意味はない。もちろん、軍事転用した国は非難されるだろう、でもその国がわからなければ……? つまりは……。
「全ての国、だね」
同時だった。まるで示し合わせたかのように、他国に対する抑止力という名目で世界中で軍事配備が始まった。タイミングがいいことに、この少し前から各国でISの強奪事件が起こっていて、その強奪されたISによる事件もいくつか発生していた。
「えぇ、そうよ。そして、今また世界各国が同時に動き始めた。欧州のイグニッション・プランを始め、アメリカでも某国と共謀して新型機を開発しているという情報もあるわ。中国と……私が言うのもなんだけどロシアも怪しい動きを見せている。そして、何より亡国機業と先日の正体不明機。その全てに何かの……誰かの思惑がある気がするのよ」
その言葉に、僕は束さんの姿を思い浮かべてしまった。
たしかに彼女の思惑がどこにあるのか、未だによく
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