サケはのんでもなんとやら
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そりゃそうだよな。剣の勝負ならまだしも、相手は相当酒に強そうだったし。
けどイングズも結構粘って、それが好感持たれたのか、大柄な男は勝った負けた関係なしに満足そうに帰って行った。
────とはいえ、その後が大変だった。イングズが、酔い潰れてしまったんだ。こ、こんな姿………レフィアとアルクゥには見せらんないな。
パブの女主人が気を利かせて、空いている個室に案内してくれた。いい男の飲みっぷりを見せてくれたお礼とかで、一晩泊まってってとまで云われた。
はぁ、こういう時のイングズの好感持たれる体質は、うらやましい。
……おれだけじゃちょっと無理だったんで、女主人の手も借りて個室のベッドまで酔い潰れたイングズを運び入れる。
そして女主人は去り際、『いい夜を♪』とか云って店に戻った。
────いい夜もないじゃん。あぁ、レフィアとアルクゥには明日どう説明しよ………
「うぅ………、みず……ッ」
ベッドに仰向けで、片手の甲を額にやったままのイングズが掠れた声でそう云ったので、おれはコップに水を注いでイングズの身体を片手で起こしてやりながらコップを差し出す。
……多少赤みの差した顔だけど、それでもあまりヒドく見えないから不思議だ。とはいえ、目つきが半眼で据わってるけど。
「結局買い出しも済ませらんなかったし……、付き合うだけ時間のムダって自分で云っといてこれだもんなぁ? ……イングズ、ほんとは酒強くないだろっ?」
「 ────── 」
「てか、どこでムカついたんだよ。やっぱ、女々しいとか云われた事か?」
「 ────── 」
「テーブルにもたれ掛かってつっぷした時点で、負けだったもんなぁ………」
「 ────── 」
「まぁでも、負けたからって何か要求された訳じゃないし、そんな悪い奴でもなかったかもなっ?」
「 ────いい、な 」
「……は? なに………」
ふと、イングズが間近でずーっとおれを見つめていた事に今さら気づく。
────近い。何かやっぱ、酒臭い。しかも………不敵な笑みを浮かべてる。ちょっと、怖いぞ? つーか、"いいな"って何が??
「 ────かわいいな、お前」
はぁ? かわ、いい?………おれが!?
何云ってんだイングズ、酒のせいで壊れたか?!────うわっ、しかも迫ってきた……!!
「フフ、フフフフフ………!」
と、とうとう笑い方までおかしく…?! ヤバイ、ぜったいヤバイ……!!
ベッドに押し倒される前に、逃げっ────
「逃がさない……!」
ひぎゃっ、後ろから抱きしめられ……
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