第二章
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い紙に書きはじめた。だがそれは文ではなく歌であった。
ぬれつつぞしひてをりつる年の内に春はいくかもあらじと思へば
和歌であった。それを書き終えた時業平は少し悲しい顔になっていた。だがそれは一瞬のことであった。
「これをあの方に」
「はい」
従者に歌を手渡す。従者はそれを受け取ると濡らさないようにすぐに懐に仕舞い込んだ。
「来て頂けると思ったのですが。残念なことです」
業平は最後にそう言い残した。藤に背を向け去って行く。それで全ては終わりであった。恋が終わったのであった。春の終わりと共に。
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