十三章 幕間劇
闇夜×褒美
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
俺は夜の散歩をしていた。見上げる城壁は、大きな穴が空いていた。補修工事で櫓が建っていて足場が組まれている。激戦とは思わないが、ひよ達にとっては激戦だったのだろう。この城壁の修理は見るだけで優秀かは分かる。
鬼はいつ来るか分からないが、トレミーや衛星カメラから監視してるから大丈夫だろうと思う。少し離れた場所に、普請用の資材があったがよく見ると小波がいた。見慣れた背中が、資材の影に隠れるようにして丸太に腰をかけていた。様子を見ていると巾着袋の中から取り出していた。
「・・・・様、どうぞ」
んー、他に誰かいるのか。話しかけてるようだけど、ここからでは分からんな。
「もぐもぐ。美味いな。ほら小波も、あ〜ん」
小波は何かを差し出しながら口を開けていた。
「え、そんな・・・・もったいない」
何かの練習でもしてるのか?身体をくねくねしているが、くねくねといえば貂蝉を思い出すな。初めて会った時は気持ち悪かった。とりあえずよく分からないので声をかけると同時に、驚かすのもいいか。幸い、まだあちらは気付いていないようだ。足音を忍ばせながら、こっそりと背後に行く。そして手を伸ばせる距離まで接近して、名を呼ぶと共に両肩を掴んだはずだった。
「あら?変わり身の術か」
いつの間にか、小波ではなく木とすり替わっていた。
「失礼しました!ご主人様でしたか!?何故このような時刻、このような場所に?」
「散歩してたら小波の姿があった」
「聞かれましたか?」
「何が?」
「い、いえ、何でもありません!」
「あーんと口を開けてたのは見えていたが」
「あ、あああ、あれは欠伸・・・・です!」
「そっか」
「・・・・(コクコクッ)」
「それにしても本物の忍者は凄いな」
「凄い、ですか?」
小波のきょとんとした顔に頷く。
「自分にはこれより他に取り柄がありませんので・・・・」
「大した取り柄だよ。黒鮫隊の者は忍者みたいになれないし、俺の妻の一人も凄いけど小波も凄いよ」
「・・・・ありがとうございます。その妻の一人とは?」
「ああ、妻の中に小波と同じくらい忍術が得意なのがいたから」
妻の一人というのは、分かる人はいると思うが思春と明命だ。格好から忍者だなと思った。
「ところで小波、食事は?夕食の席で姿がなかったから気になっていたんだが」
「えっと、ちょ、ちょうど今、頂こうと・・・・」
「ここで?しかも一人?」
「その・・・・はい」
何ちゅうもの食ってるんだか。小波の分も用意してあるのにな。
「もしかして、いじめられ・・・・」
「ち、違いますっ!皆さんよくして下さいますっ!」
両手を派手に振って否定をする。しか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ