十三章 幕間劇
烏と雀×りんごのむき方
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は、今後はなさらぬよう。公方様の為にもなりませぬので。それと一真様は、神仏と通じ合っているので例え神仏に供えるりんごを取っていたであろうが、一真様がお許しになったとしても、他の神仏がお許しにはならないので」
「は、はい・・・・」
「・・・・」
「では失礼。公方様にお灸を据える仕事が残っておりますゆえ・・・・」
踵を返して、何かを思い出したかのように、また振り返る。
「もいでしまったものは仕方がない。そのりんごは供え物用にいくつか残して、後は皆で食べても構いませぬ」
今度こそ本当に幽の姿が庭の奥へと見届けると、二人は大きく息を吐き出した。無邪気に見えても、こういう時は緊張するんだな。神界では一葉の事で、少し不運にしようとしていたようだから俺が止めといた。
「じゃあお許しも出たし、りんごを食べるか。二人とも食べるだろう?」
「うん!」
「(こくこく)」
二人とも嬉しそうだった。なのであそこの縁側に座り込み、二人を呼んだら烏が雀を止めた。
「どうした?」
「お兄ちゃんの隣に座るのはダメなの。お姉ちゃんがそう言ってるよ」
「おいおいそんなに厳しいのかよ。じゃあお前らは、どこに座るんだ?」
「雀達は、お兄ちゃんの足元に座るから大丈夫だよ!」
参ったな。俺は別に構わないのにそうなるのか。
「俺、一人で食べていても寂しいだろう。だったら隣で座ってくれよ」
俺の言葉に何か期待してるのか、雀が烏を見る。だけど烏は無表情だけど。
「俺が願うなら、隣に座ってくれるか?俺に対して余り畏まれると、こちらが困るから普通に接してほしいんだが」
「じーっ」
「・・・・」
烏は諦めたように、ため息を吐いた。
「(こくん)」
「やったー!雀、お兄ちゃんの隣に座るー!」
ウサギのように飛び跳ねてきた雀は、俺の隣にちょこんと座る。あとから烏もやってきて、遠慮がちに反対側に少し離れて座った。
「お姉ちゃんね、果物の皮をむくの得意なの!するするするって、上手にむけるんだよ!」
「(うんうん)」
「ほほう、では勝負をするか?俺も得意だからな」
「・・・・・」
「お姉ちゃんが勝負しようだって。ちょっと待ってね」
雀は肩から掛けていた大きなバッグを下ろすと、手を突っ込んで中を探り始めた。俺は空間から、調理用ナイフを手に取った。
「うーんと、小刀、小刀・・・・これかな?えいっ!」
雀が引っ張り出したのは、孫の手みたいなのが出てきた。
「あれ、間違えちゃった。こっちかな?・・・・えいっ!」
次に出てきたのは、なぜかすりこぎ。
「おっかしーなあ。じゃあ、こっち!やあっ!」
次に出てきたのは・・・・。
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