暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
十三章 幕間劇
烏と雀×りんごのむき方
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「(ぶんぶん)」

雀はこう言ってるが、烏は否定をしている。たまに烏が言ってないのに通訳してしまうんだが。

「本当に気にしなくてもいいんだが。ここは一葉の庭だが、勝手にりんごを取ってもいいのか?」

本来の理由としてはそれなんだけど。

「構わぬ。余が烏達に頼んだのじゃ」

「あ、一葉様!」

「・・・・」

凜と響いた声を聞いた途端に、二人の背筋がぴんっと伸びた。表情が少し緊張をした顔になってるな。

「一葉様、りんご沢山採った!お姉ちゃんと沢山採ったの!だから、たーくさん食べられるよ!」

「ほう、これは立派な実じゃの。美味そうじゃ」

既に風術ではなく、俺が抱えている。抱えているりんごを一つ取る。

「では、頂くとするか。あむ・・・・うーん、これは美味じゃ!」

甘酸っぱい香りのする果実を大きな口で頬張り、一葉はあっという間にそれを飲み込んだ。俺だったらそのまま食べないで、ジュースにするかアップルパイでも作る。

「ほれ主様、一つ食べるか?ただし、幽には絶対に内緒にするんじゃぞ」

「何で?怒られるからか。だがここは一葉の庭だろ」

「しかしりんごは基本的には、供え物として神や仏に供える物なのじゃ」

「その神なら目の前にいるが?」

「大丈夫じゃ。一つくらい食べてもバチは当たらんじゃろうに。それに幽に見つかりさえしなければ」

一葉は得意げに笑っていたが、神界ではどうなのか?みたいな議論してたようだ。俺が許してるから、問題はなさそうだけどな。二つ目のりんごを取って俺に食べるように勧めたが断った。

「公方様っ!」

りんごを咥えたまま、一葉がびくっと首をすくめる。あーあ、やはりバチが当たったようだな。

「りんごを召されてはなりませんと、何度言えば分って下さるのか」

「分かってはいるがやめられんのじゃ」

「開き直るおつもりですか?」

「説教なら後で聞くわ。これを食べ終わった後でな!」

俺の手から持てるだけのりんごを奪い取ると、一葉は一目散に逃げ出した。

「お待ち下さい、公方様!」

後を追いかけて行ったはずの幽が戻ってきた。

「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません、一真様」

「別に掛けてはいないがな」

俺はただりんごを持ってただけだし。

「時に烏、雀」

「はいっ!?」

「(どきっ)」

怒られると思っているのか、二人は顔を強張らせ、真っ直ぐに幽の方に向いた。

「そんなに緊張せずとも良い。公方様に命じられてやった事、咎めはしませぬ」

「よかった・・・・」

「(ほっ)」

「ただし!」

「はい!」

「(どきっ)」

「公方様の我が儘を全て聞き入れる事
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