十三章 幕間劇
烏と雀×りんごのむき方
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
「(ぶんぶん)」
雀はこう言ってるが、烏は否定をしている。たまに烏が言ってないのに通訳してしまうんだが。
「本当に気にしなくてもいいんだが。ここは一葉の庭だが、勝手にりんごを取ってもいいのか?」
本来の理由としてはそれなんだけど。
「構わぬ。余が烏達に頼んだのじゃ」
「あ、一葉様!」
「・・・・」
凜と響いた声を聞いた途端に、二人の背筋がぴんっと伸びた。表情が少し緊張をした顔になってるな。
「一葉様、りんご沢山採った!お姉ちゃんと沢山採ったの!だから、たーくさん食べられるよ!」
「ほう、これは立派な実じゃの。美味そうじゃ」
既に風術ではなく、俺が抱えている。抱えているりんごを一つ取る。
「では、頂くとするか。あむ・・・・うーん、これは美味じゃ!」
甘酸っぱい香りのする果実を大きな口で頬張り、一葉はあっという間にそれを飲み込んだ。俺だったらそのまま食べないで、ジュースにするかアップルパイでも作る。
「ほれ主様、一つ食べるか?ただし、幽には絶対に内緒にするんじゃぞ」
「何で?怒られるからか。だがここは一葉の庭だろ」
「しかしりんごは基本的には、供え物として神や仏に供える物なのじゃ」
「その神なら目の前にいるが?」
「大丈夫じゃ。一つくらい食べてもバチは当たらんじゃろうに。それに幽に見つかりさえしなければ」
一葉は得意げに笑っていたが、神界ではどうなのか?みたいな議論してたようだ。俺が許してるから、問題はなさそうだけどな。二つ目のりんごを取って俺に食べるように勧めたが断った。
「公方様っ!」
りんごを咥えたまま、一葉がびくっと首をすくめる。あーあ、やはりバチが当たったようだな。
「りんごを召されてはなりませんと、何度言えば分って下さるのか」
「分かってはいるがやめられんのじゃ」
「開き直るおつもりですか?」
「説教なら後で聞くわ。これを食べ終わった後でな!」
俺の手から持てるだけのりんごを奪い取ると、一葉は一目散に逃げ出した。
「お待ち下さい、公方様!」
後を追いかけて行ったはずの幽が戻ってきた。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません、一真様」
「別に掛けてはいないがな」
俺はただりんごを持ってただけだし。
「時に烏、雀」
「はいっ!?」
「(どきっ)」
怒られると思っているのか、二人は顔を強張らせ、真っ直ぐに幽の方に向いた。
「そんなに緊張せずとも良い。公方様に命じられてやった事、咎めはしませぬ」
「よかった・・・・」
「(ほっ)」
「ただし!」
「はい!」
「(どきっ)」
「公方様の我が儘を全て聞き入れる事
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ