十三章 幕間劇
雫の処遇
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「はい。その資材は向こうにお願いします」
「小寺様。こっちの壁は、こんな感じでいいですかね」
「図面だと・・・・ええ、大丈夫です。そのまま続けて下さい」
「へい。承知致しやした」
何やら順調に進んでいるようだが、俺が壊した城門や壁はそのままとなっている。
「お疲れさん官兵衛」
「あ、一真様!それに幽さん、詩乃殿も!」
「城壁の普請ですか?お疲れ様です」
工事の櫓が組まれているのは、先日の戦いで崩れ落ちた外壁。最も俺が創造して直したはず何だけど、何故かまた崩れ落ちた様子だった。また鬼が攻めてきたらたまったもんじゃないしね。今の所、前より頑丈にしているそうだけど。
「・・・・はて」
「どうした幽」
「いえ。このような普請依頼・・・・それがしにはとんと覚えがが」
「一葉からの依頼ではないな」
「流石一真様。分かっていらっしゃるようで」
だってあの一葉だもんな。この辺りの事は、幽に丸投げする事が多い。無論双葉の命でもあるまい。
「幽殿の指示でもないのですか?」
「そうなのです。二条で、この手も指示をするとすればそれがしだけなのですが、はて?いつその指示をしたかなと。はてさて・・・・それがしまで耄碌したとなれば、いよいよ幕府もお終いですかな?」
いやいや、幽はまだ若いのだからな。
「なるほど」
詩乃は官兵衛を見てたが、ああ、そういう事ね。
「・・・・す、すみませんっ!私、播州では縄張りや普請の指示もしていまして・・・・こういった壊れた壁は、見ていてどうしても我慢出来なかったんです」
やはり勝手にやったのか。
「播州の小寺官兵衛は築城の名手と聞き及んでいましたが・・・・やはり無断で」
「・・・・すみません」
「・・・・困りますなぁ。このような事を断りもなく行って二条に請求を回されても、それを払う金子などどこにも・・・・」
「あ、修繕の費用は全て小寺家から・・・・」
「流石は小寺殿。これだけ見事な城壁に修繕して頂けるなら、当方からは何も申す事などございません。ぜひぜひ、宜しくお願い致します」
変わり身早いなー、おい。勝手にやるのはよくないが、幽が修繕費は小寺家で払うならいいとは。
「それで何か御用ですか?」
「ああそうそう。この間は応援に来てくれた事、真に感謝する。あの時は、慌ただしかったからお礼が言えない状況だったからな」
「いえ・・・・私こそ、勝手に押しかけてしまってご迷惑をお掛けしました」
「とんでもない。我が主は多忙にて顔を出す事叶いませぬが、主に代わって幕府からも礼を言わせて頂きますぞ」
「公方様や一真様のお役に立てたのなら、何よりです。それと私の通称は雫と申します。お嫌で
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ