十三章 幕間劇
雫の処遇
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を見上げていた詩乃がいた。
「詩乃、そこで何をしている?」
「いえ・・・・書見をしておりましたが、気分転換に少々月見を」
「そうか。あんまり夜更かしするなよ」
呟いてから、腰を下ろす。
「久遠様と一葉様にはもう?」
「ああ・・・・小寺家に使いを出すとさ」
二人も雫の活躍は知っていたし、明日の朝一番で使いを出してくれると。早馬を使うから、壁の普請が終わる頃には答えが返ってくる事もな。
「そうですか。・・・・一葉様はどのような条件でそれを?」
「大した事はないが、『はいそうですか』と受ける一葉ではないと知っているからな」
「そこまで立場を分かってるのなら安心です。ですが雫が既に、小寺家の不興を買っていなければ良いのですが」
雫の事が心配か。恐らく自分と重ねているのだろうか、美濃を少しでも良くしようと思い、龍興に進言をしても聞き入れてもらえなかった。それはそれでいいとして、軽く抱き寄せてからゆっくりと月見を堪能した。
「おーい雫」
「あ、一真様・・・・それに公方様っ!?」
「うむ。・・・・そう固くなるな。余は堅苦しいのは好かん」
「は、はい・・・・一真様、そのご様子は?」
「んー・・・・これはそうだな」
天下の足利将軍が、上機嫌で俺の腕にしがみついているからな。誰でも何事かと思うか。
「うむ。主様に貸しを一つ作っての、その借りを返してもろうておる。これもお主のお蔭じゃ」
「・・・・は、はぁ?」
「壁もほとんど完成だな」
「はい。皆、よく働いてくれました。明日には全ての作業が終わるかと思います」
「そうか・・・・幽から聞いたぞ。先日の加勢と併せて、改めて礼を言わせてもらおう。大義であった」
「はっ!」
「まあ余としては、この件が一番嬉しかったがの♪」
上機嫌で雫に見せつけているけど、腕には柔らかいのが当たってる。まあこれも役得だと思えばいいし、これから一葉とデート=逢引だ。
「はぁ・・・・?」
「んーとだな。小寺家に、雫を貸せという頼みの条件だ」
「事が首尾よく済んだらの。余が小寺に頭を下げた礼として、主様に一日付き合うよう約束しておったのじゃ」
久遠も雫の働き振りは知っていたから。戦力が増えるし、軍師が増えるからと納得してくれた。
「では・・・・使いが?」
「うむ。先程戻ってきた」
「それで、公方様が一真様と一緒にいらっしゃるという事は・・・・」
「そう言う事で、正式に雫は幕府で預かる事になった」
「小寺は、本当にやる気が無いらしいの。使いの者も、少しは引き延ばされるかと不安だったようだが、余りにあっさりと返答されて面食ろうておったわ」
「あはは・・・・そう
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