十三章 幕間劇
久遠と一緒に
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
下統一という夢があるのも知っていたが、まさかこの世界にもドウターゲートが現れるとは思ってもいなかった。
「今は、天下の一夫多妻制の許可書が発行されたもんな。俺はあの宣言があっても別に驚かなかった」
「・・・・すまん」
「だから謝るなって。それは久遠の悪い癖だぞ」
「だが今回ばかりは、お前に何の相談もなく・・・・本当にお前を・・・・むぐ・・・・」
そう言いかけた口を落雁で塞ぐ。
「いいんだ。この世界に来たらまた増えるのだろう、そう予感はしていた」
多分観音寺城の頃よりずっと前からだろう。京から戻って来てから、ずっと考えていたんだろうと。今なら美濃で、結菜が言った事が分かる。あれはこの事だったんだと言うのをな。
「むぐむぐ・・・・。だが・・・・」
「だが、も無しな」
「ん・・・・っ」
ようやく菓子を食い終わったのか、また何か言いたそうだった久遠。そうはさせるかと思い、強く抱きしめた。
「神の勘というのは、意外と当たる。それに恋人同士での一夫多妻制は有りだと思っていたが、鬼に対抗する力を纏めるのなら、俺は喜んで受け入れるよ」
後ろから髪をそっと触れてから撫でても何も言わない久遠。いつもなら恥ずかしいからと、何かを言うはずなのだが。
「ふむ・・・・今日の久遠は素直だな。何をしても受け入れる気満々と言う感じだ」
「我は一真の恋人であり、もしかすると妻になれるかもしれない。だから我は、一真に何をされても受け入れようと思ったのだ。それにこうされていると、胸の奥が暖かくなるから。だが皮肉なものだ。我は政略結婚から逃れる為に一真を恋人として迎えた我だったが、今は日の本を纏める手段として、一真を政略結婚の前として恋人を集めさせようとしている。その絡繰りを一番嫌っているのは我だ」
「なら何故こういう手段を取ったのか聞かせて欲しい。俺はそうなると思い、この世界に降臨する前から思っていたがな」
「うむ。やはり創造神であるお主には見え見えなんだな。この計画を思いついたのは、前に京で一葉に会った時だった。美濃に戻ってからも、結菜に相談したり何度か書状をやり取りして・・・・細かい所を詰めていったのだ」
「では上洛の準備に時間をかけたのも」
「ああ。しっかり準備は整えたかったのもあるが、この件が詰まっていなかったのも理由の一つだ。一葉も既に幕府に力がない事は、自覚していたからな。打てる手の限られた我々としては、最早このような策しか残されていなかったのだ」
やはりか。久遠と同じ道を歩く前から分かっていた事だが、十分な時間があれば幕府の力は再び取り戻すという王道な方法もあった。今の俺達には、そういう時間さえ足りなかったんだろう。この策を詰めてから、上洛準備をしっかりと整える時間
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ