十三章 幕間劇
久遠と一緒に
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「ならば良い。次は楽しみにしておるからな、主様」
一葉に教えてもらった通りに進めば、やがて見えてきたのはほんのりと明かりの漏れる一角だった。スマホからの情報も修正してここにいるらしいが、それに一葉達も久遠を気遣ってくれたのか。周りには誰もいない。
「久遠いるか?」
驚かせないように、中を透視させてから声をかける。この反応は泣いてるのか?黙っていたから中に入ると小さく肩を震わせていた。
「久遠」
俺は傍に行くと優しく抱きしめた。
「か、一真・・・・。こら、何をするんだ」
「久遠、泣いてるじゃないか。隠しても無駄だぞ、目尻の所に涙の跡があるからな」
俺は6対12枚の翼を展開してから、この部屋を暖めだした。寒気を感じたのでな、心身が落ち着くようにしている。
「一真にはバレバレか」
「そうだ。さてと密着するならこの方がいいぞ」
俺はあぐらをして久遠を念力で持ち上げてから、足の間にすっぽりと収まる。そして、全翼を久遠に包み込むが、翼はまるで干したての布団のように暖かいからな。
「一真、温かいぞ」
「そうか。このままでいいだろう?」
「うむ。ダメだと言ってもこの翼のお陰で逃げられん。抵抗するだけ無駄だ」
こうしている事で、久遠は俺と真正面に向いている。それと抱いているからか、久遠も暖かいがこの方が落ち着くだろうな。
「今日も月を見ていたのか?」
「虫の音を聞いていた。これ以上は騒ぐなよ」
数分後になると、虫の音が聞こえてきた。俺と話している間は静かにしてたが、黙ると鳴り始めた。
「そういえば双葉から菓子を貰っている」
「双葉?」
「久遠の所に行こうとしてたら、間違って一葉達の所に行ってな」
「そうか。あ奴ら、先程我の所にも来ておったぞ」
「そうなの?」
それは一葉から聞いてあるが、ここで言ってしまうのは野暮だ。こう言う時は、知っていても言わないようにするのがテクニックとされている。鈍感野郎である主人公と一緒にするな、と言いたいわ。
「うむ。我が元気がないから気分でも変えろと、打掛など引っ張り出して来てな」
「打掛って何だ?」
「宮廷の女官達が着ておるだろう。あれだ」
打掛って、何だろうと思い左手を久遠の背中から放してからスマホを取り出して検索した。日本女性の着物(和服)の種類の一つで、結婚式で新婦が着る事があるとな。
「必死にやめさせたが・・・・あ奴ら、我を何だと思っているのだ」
「似合うと思うんだがな、久遠。髪型や服装が変わると女は変わると言うし、特に化粧やら服で女は化けるからな」
「そ、そうか。だが、我には似合わんと思うのだが」
「そんな馬鹿な事があるかって。想像しただけで
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