呪われし蛇髪姫
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“彼女”って、誰なんですか?」
少なくとも、ジュビアではない。
ザイールとはギルドに入ってからの知り合いであり、ギルドを抜けてまで守りたいと思われていたとは思えない。
ジュビアのその問いに、ザイールは笑みを消した。
黒い瞳に愁いを宿し、辛そうに、悲しそうに表情を歪める。
「アイツは不幸だった。生まれつきあんな力を持っていたから・・・家族からも見放され、1人で小屋に住んでいた」
ザイールは思い出す。
1番歳が近い事を理由にされ、食事を小屋に持って行った際に、扉の開く音に反応して怯えたような表情を見せた少女を。
びくびくしながら食事を受け取り、警戒しているのか自分の前では食べようとしなかった彼女の姿を。
「俺は・・・許せなかったんだと思う。何も悪くないアイツが、悪い大人に勝手にレッテルを張られて放置されている事が。それに気付いていながら何もしない奴等が。アイツを救う事が出来ない、俺自身が」
だから、あの姿はザイールにとって大きな救いだった。
荒々しく小屋の扉を開けた粗い黒髪の男の顔は強面だったけど、彼女を見捨てた大人に比べれば善人に思えた。
彼女も最初は怯えていたけど、ぶっきらぼうで不器用な中に確かな優しさのある男に、すぐに心を開いた。
「幽鬼の支配者に入って・・・やっとアイツに居場所が出来たんだと安心したんだ。魔導士ギルドならあの力も特別なものではないしな。だから・・・だから、抗争を起こしてほしくなかった。負ければ、アイツはまた居場所を失うと思ったから」
だから必死に抗争を起こさせまいと行動した。
だが、ジョゼに彼女を盾に取られ、行動自体が不可能になった。
結果として抗争に敗北、幽鬼の支配者は解散―――――1番望まなかった状態になってしまったのだ。
「だから・・・俺は許せない。勝てもしない抗争を起こした幽鬼の支配者が!無論、それはお前やアイツの恩人であるガジルも例外じゃない!」
「!」
ジュビアは気づいた。
元幽鬼の支配者の所属で、ガジルを恩人と慕う少女は1人しかいない。
「まさか・・・その、少女って・・・!」
ローズピンクの髪。膝上丈のメイド服を常時着用し、ウエストポーチの中には釘やらネジやらを詰め込んでいる。
未だに妖精の尻尾に馴染めずにいる、ガジルの側近と称する少女。
「・・・ああ」
ジュビアの想像する少女が誰か、気づいたのだろう。
ザイールは頷き、その名を口にした。
「シュラン・セルピエンテ―――――――“呪われし蛇髪姫”だ」
それを聞いた瞬間、ジュビアの脳裏を、かつてシュラ
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