呪われし蛇髪姫
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ても、彼女にはギルドにいて欲しいんですよ。強いですから」
「・・・そうか」
俯き、考える。
否、考えるまでもなかった。
ザイールにとって大事なのは――――――
「・・・解った。今日の今を以て、俺は幽鬼の支配者を脱退する」
―――――“彼女”の、無事だった。
それを聞いたジョゼは満足そうに魔法を消し去る。
タン、と小さく音を立てて、ザイールは着地した。
「紋章は自分で消す―――――今まで、世話になった」
くるっと背を向け、ザイールは足を進める。
今までずっと傍にいた少女を見捨てる結果となった事を、心の中で謝罪しながら。
―――――俺に次の居場所は見つけられるんだろうか、と、唇の動きだけで呟きながら。
「・・・」
何も言えなかった。
姿を見かけなくなったな、とは思っていたが、こんな事があったなんて知らなかった。
ジュビアは何かを言おうとして、言葉にならずに言葉になる前にふわりと消える。
「結果は俺の言った通りだっただろう?幽鬼の支配者は解散、妖精の尻尾は今も健在。全く・・・滑稽すぎて笑う事も出来ない」
首を横に振る。
その動きに合わせて、黒髪が揺れる。
その表情は呆れているような、薄く笑っているような、一言では説明出来ないような表情だった。
「でも・・・何で、闇ギルドに・・・」
「誘われたからだ。俺達のマスターに。どちらにしろ、正規ギルドは俺には不向きだと抗争の件で知った。ジョゼのような、妬みと憎しみで構成されたような奴と関わるのは好きではない。だが、人間というのは妬みも憎しみも当然のように持ち合わせている。それでこそ人間と呼べるものだ」
長く話したからか、ザイールは一旦区切る。
「だから妬みも憎しみもない闇ギルドへ加入した。闇ギルドは妬みや憎しみなんて“可愛らしい”感情としか思われない。憎しみが無いとは言えないが、俺は正規ギルドより自由だと思っている。まぁ、法律自体を無視している存在だからかもしれんがな」
ククッとザイールは笑い声を零す。
心底楽しそうだ、とジュビアは思った。
ジュビアの知るザイールは、ここまで楽しそうに笑うタイプじゃなかったはずだ。
「あの・・・」
「ん?何だ?ここで再開したのも何かの縁、聞かれれば答えるぞ?」
勿論敵である事に変わりはないからその後で殺すけどな、と。
ザイールは笑みはそのままに呟いた。
その言葉と不釣り合いな表情に少しの恐怖を覚えながら、ジュビアは問う。
「ザイールさんはどうしてギルドに残って抗争を止めようとしなかったんですか?ザイールさんがギルドを抜けてまで守りたかった・・・
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