十三章
戦(1)
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るの?」
「お家流の事は知っていたが、どんなお家流かは知らない」
「じゃあ、教えるの。足利家お家流、三千世界なの!」
「そう。須弥山の周りに四大州。その周りに九山八海。その上は色界、下は風輪までを一世界として、千で小千世界、その千で中千世界、更に千で大千世界。全てを称して三千大千世界、通称・三千世界という。三千世界は果てもなく、この世にあるとも、しかしながら、ないとも言える。現であり幻である。そんな三千世界より、足利の名を慕う力を集める。それが足利家お家流・・・・見るも醜き鬼どもよ。足利将軍である余の力、存分に味わわせてやろう」
不敵に笑みを浮かべる一葉が、まるで舞のように、宙に手を滑らせる。ほう、ゲートオブバビロンかのように実在の有無に関係なく武器を召喚した。本物か幻かは分からないが、数十から数百ある刀だった。あれは、俺にも使えるな。あとでやってみるか。
「相手が相手だ。余のまだ知らぬ時より馳せ参じた、安綱、国綱よやら。両刀で存分に暴れてみせぃ」
あの刀には自我があるのか?一葉の言葉を聞いたのか、宙に浮かぶ刀の中から特に二本が一葉に懐き、まるで嬉しそうに瞬く。
「足利の。主様の敵を殲滅せよ・・・・いけ」
短く発した一葉の命令を受け、安綱、国綱と呼ばれた刀が先陣を切った。その後に続けと言わんばかりに、数多の刀も鬼に襲い掛かった。先程よりも更に増え、七十はいた鬼達が一瞬にして鬼をナマス斬りにしてしまった。ゲートオブバビロンと言う言葉は知っていたし、使い方も知っていたが使う時がなかった。
「・・・・ふむ。久しぶりに使ったが、少々腕が鈍ったか」
「あれでか。するともっとできたのか」
「顕現する刀の数が少なかったからな。・・・・余の力が鈍った以外には考えられん」
「するとあれか?足利の棟梁にしか使えないお家流で、訓練した事はないという事か」
「うんなの。足利のお家を継ぐ時にね、魂に契約の呪が刻み込まれるんだって。そうする事で、三千世界と繋がれるって泰能が言っていたの!」
「これがさっき一葉が言った一対多の意味か。だが、何度かは使えんのだろう?」
「うむ。我の知らぬ、見た事も聞いた事も、どこにあるのかも分からぬ三千大千世界。そんなものと交信せんといかん。この力を使うとかなり疲れる。身体が疲れるのではなく、頭というか・・・・魂が疲れるのだ。なのでな、このお家流は一日に一度か二度が限度だな」
「でもだいぶ楽にはなったな。ありがとう一葉」
「ふふっ。もっと褒めても良いのじゃぞ?」
「褒めたいところだが、まだまだ来るぞ!」
言っている内に、城壁から入ってきて数が増えていく。数十から数百か、試してみるか。
「一葉、俺の力も見せてやるよ!」
といって、俺は
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