十三章
到着×再会
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らんのか?」
「・・・・と申されますと?」
「さっき言った予想外の事は、松永弾正少弼が久遠に降伏を申し出てきた事だ」
「ひょ・・・・・・・・っ!?」
奇声を上げた幽は、俺の顔を見ながら固まってしまう。
「それは・・・・初耳ですな」
「さっきの奇声で充分驚いたようだな。一葉に会ってこの事を言った後に、その後の対応策を考えた方がいいな」
「そうですね。今はとにかく一葉様と打ち合わせをするのが第一かと」
「ザビエルの事も確認しないとな」
「はい。ザビエルが絡んでるとなれば、此度の二条館防衛、一筋縄ではいかない気がします」
しばらくして歩くと、幽が止まった。この部屋にいるのかと。
「夜分に失礼致します。織田より先駆けとして一真様が来てくれました。お通ししても宜しいですか?」
「許す」
「はっ」
「一真か。久しいな」
そう言った一葉の声には少し張りがなかった。特徴のある威厳を感じさせない声音でもないし。
「久しぶりだな。余り元気そうでは無さそうだ」
「壮健であった。・・・・と言いたい事でもあるのだが。中々そうも言えんのが現状であろうよ。じゃが、まぁそれなりに安全には過ごしておったぞ」
「それは何よりで」
そう言いながら、俺は一葉の前に腰を下ろす。通信機は付けたまま。
「お久しぶりでございます、一真様」
「久しぶりだな双葉。無事で良かった」
「うふふ、お陰様で」
「双葉には、何だか優しい声音じゃな。余にもそのような声で言ってほしいのじゃ」
「そこは雰囲気だ。双葉は姫さんだけど一葉はだな・・・・」
「悪童ですな」
「そうそうそれそれ。まあ俺も立ち位置的には神何だが、一葉は将軍というよりそっちの方だ。公方と言うのを忘れる」
「むぅ・・・・一真に言われると心外じゃな。立ち位置は同じか余より上のはずじゃのに」
「そんな事よりまずは情報交換した方がいいぞ。まずはそっちから話してくれ」
「分かっておる。幽、報告してやれ」
「承知。では不肖それがしよりご報告致しましょう」
軽く頭を下げた幽が、ゆっくりと口を開いた。まず俺達が京を去ってからしばらくは、平穏な日常が続いたと。だが、その平穏が破れて、緊張感が漂うようになったのは最近の事。久遠と密約を交わした一葉は、将来に備えて二条館の塀や堀、門の改修を命じた。それがどうやら三好・松永の徒を不用意に刺激してしまったようだった。一葉曰く元より覚悟はあったと。ゆっくりとだけど、確実に緊張感が溢れる中、京に届いた織田上洛の噂だ。噂を確認と同時だったが、織田勢が観音寺城を落としてしまって、三好・松永の徒の狼狽は、極減まで張り付いてしまった。
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