Turn
第三十八話 歪んだ世界
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『それ』が彼女と出会ったのは偶然だった……いや、その後のことを鑑みればまさに奇跡と言ってもいい。意識や思考はあれども伝える術を持たなかった『それ』と、読み取り具現化することが出来た彼女との邂逅は文字通り世界を変えた。
彼女にとっても、この出会いは転機となった。
もともと周囲から浮いており、友人と呼べる人間なんて一人しかいなかったし彼女自身はそれでも構わなかった。むしろ、自分に近寄ってくる邪魔者が減ったおかげで無駄な時間を使わずに済むと清々していたぐらいである。
そんな折に出会ったのが『それ』であり、以降の彼女の生き方は決まってしまった。そして、『それ』は彼女の唯一の友人も巻き込んだ。だが、彼女らは後悔などしていない。何故ならこの出会いがなければ、彼女らは守れなかったかもしれないからだ……何より彼女らにとって大事なものを。
まさしく運命的な出会い……とはいえ、実際には血生臭い事実があるのだが、そんな出会いを経て彼女らは『それ』と一心同体となった。
日本では史上稀に見る大量の流星が観測されたことで世間を賑わした、ある夜のことだった。
◇
結局、トーナメントは楯無さんとデュノアさんのペアが優勝した。
話を聞く限り、鬼気迫る楯無さんによってフォルテさん達は為す術もなく敗北したらしい。デュノアさんも決勝ではやることがなかったとぼやいていた。
ボーデヴィッヒさんの話を聞く限り、僕の看病するために急いでくれたのかな……なんて思うのはさすがに自惚れが過ぎるかな。
でもせっかくの楯無さんとの試合の機会、またしても不完全燃焼になってしまった。まぁ、だいたい僕に原因があるんだけど……そうはいっても、ここまで彼女との試合にばかり何かが起きるとそういう運命なのかと考えてしまう。
それに、今回は僕だけでなく簪さんのこともあるし……彼女は気にしていないと言ってくれたけれど。
そういえば彼女は楯無さんと仲直りできたらしい。仲直り、と言ってもまだお互いどうやって接したらいいのかわからず微妙な距離らしいけれど、以前のように一方的に敵視するようなことはなくなったようだ。
何がきっかけで仲直りできたのか聞いてみたけれど、そこははぐらかされてしまった。
一方、ボーデヴィッヒさんに関しては特にお咎めなしだ。もともとVTシステムの発現に関しては完全に秘匿できたみたいだし、彼女自身に非がある訳でもない。その後の千冬さんからの聞き取りにも素直に応じていたみたいだし、僕や織斑君に対する態度もいくらか軟化した。
ただし秘匿したことによって、諸悪の根源であるドイツに対して表だった抗議はできていない。これに関しては仕方ないけれど、こちらで証拠データや映像は保存しているのでいざというときのカードとしては使えると
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ