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第三十八話 歪んだ世界
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」
いつの間にか立ち直っているボーデヴィッヒさんが、急に真面目な表情になって問いかけてくる。改まって聞きたいことって何だろう、そして僕はどんな表情だったんでしょうか……。
「お前は……」
聞きづらそうに、それでも真っ直ぐ僕を見る彼女に僕は思わずゴクリと唾を飲み込み続きの言葉を待つ。しかし……。
「セシリア・オルコットの姉だったのか?」
「……は?」
出てきた言葉は全く想定外で、思わず素で聞き返してしまった。
え、なんでそう思ったの?
「む、違うのか? オルコットがお前のことを『お姉様』と呼んでいるからてっきり姉妹なのだと思ったが」
「あ、ち、違いますよ。私と彼女は……」
「姉妹よりも深い絆で結ばれているのですわ!」
突然、会話に割り込んでとんでもないことを言ってくるオルコットさん。
って、せめて着替えてからこっちにきてよ! なんでまだ水着姿なのさ!
「ふむ、絆とは?」
「えぇ、いいでしょう。あなたには以前からお姉様の素晴らしさをぜひとも調教……もとい刷り込まねばと思っていました。こちらでゆっくりじっくり語ってさしあげますわ!」
「お、おい、ちょっと待て。お前のその眼は嫌な予感が……き、聞け!」
目の前の状況についていけずに惚けていると、オルコットさんがボーデヴィッヒさんを強引にどこかに連れて行ってしまった。というかオルコットさん、ちゃんと着替えてくださいね?
ふと我に返って周囲を見渡すと、鈴さんと簪さんは二人で何やら真剣に水着を探し始めており、箒さんは姿が見えない。織斑君とデュノアさんは……あ、いた。売り場の隅のベンチで座って項垂れている……疲れたんだね。
あれ? いつの間にか僕が一人余っている状況に……。
僕が一抹の寂しさを感じていると、織斑君達のところに二人組の女性が向かっているのが見えた。二人の反応を見るに、知り合いではない……それに、あれは何か嫌な感じがする。
少し気になった僕はそのまま彼らの近くに行くことにした。
「あなたたち」
女性のうちの一人が声をかける。
織斑君たちはやはり知り合いではないらしく、キョトンとしている。
「はぁ、あんたら以外に誰がいんのよ。ちょっとあたしらの荷物、車まで運んでよ」
もう一人の女性が、そういって大量の荷物を指さす。
やっぱりそういう類だったか。
女尊男卑の世の中で大量発生することになった……残念な人たち。勘違いも甚だしい。
「は? 人に頼むならもう少し言い方ってのがあるだろ? なんで見ず知らずの人に命令されなきゃなんないんだよ」
「い、一夏」
そう、彼が正しい。でも、それが通らないのが今の世の中。おそらく、このままだと彼は……。
「あんた、
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