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第三十八話 歪んだ世界
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二人きりの男子だと思っているからどうしても依存しそうになるのもわかるけれど、これじゃデュノアさんも可哀そうだな……他人事じゃないし、できるだけフォローしてあげよう。
ボーデヴィッヒさんは、どういう心境の変化だろうか。トーナメント以降のやり取りで僕や織斑君とのわだかまりは減っているとは思うけれど、まさか買い物に彼と一緒に来るとは思わなかった。でも、あれだけ敵意剥き出しで軍人然としていた彼女がこうして日常を楽しむ機会を受け入れてくれるのなら嬉しいかな。
なんて、少し穏やかな気分になっていたんだけど、そんな時間は長くは続かなかった。
「お、お姉様、一夏さん。こんな水着はどうでしょう?」
「あんた……臨海学校にそんな際どい水着で参加してどうするつもりなのよ。一夏やシャルルだっているのよ! って、一夏! なに鼻の下伸ばしてんのよ!」
「い、いや。違うって!」
「一夏! お、お前というやつは!」
「ふむ、布の面積が若干少ない気がするが戦闘時には動きやすそうだな」
「そ、それは何か違うと思うよ……?」
「……騒がしい」
まるで去年の再現みたいだ……。シーズンが近いということもあって水着売り場はそれなりに人がいるにも関わらず、大騒ぎになってしまっている。
おかしいな、僕のイメージだと女性というのはもう少しお淑やかな存在だったはずなんだけど、この学園に入ってからどんどん崩れていっているよ?
「どうしたのだ、そんな引き攣った顔をして」
目の前のあんまりな光景に絶望していると、意外なことにボーデヴィッヒさんが話しかけてきた。誤解はなくなったといっても、それ以降で直接会話したことはほとんどなかった。
「そ、そんな顔してましたか?」
「見た目は笑顔だったが、表情筋の一部がピクピクしていたぞ。まぁ、一般人にはわからんだろうがな」
軍人だからな、と何故か得意げに話すボーデヴィッヒさんを見て、微笑ましいものを感じてしまった。
「ふっ、今のは自然だったぞ」
「そう……ですか。ふふ、ボーデヴィッヒさんも以前に比べたら自然に笑えていますね。キリッとした軍人然とした姿もカッコいいとは思いますが、今のほうが私は好きですよ」
「む、そ、そうか……?」
あれだけ刺々しかった彼女が、こうして普通に話しかけてくれて笑いかけてもくれるのだから嬉しくもなる。そう、素直に伝えたんだけれど照れたのか顔を真っ赤にして目を逸らしてしまった。
なんだろう、素直に可愛いと思ってしまうのは楯無さんの影響なのだろうか。女の子として、というよりこう、守ってあげたいような。これが、母性……って違うよ! なんか前にもおんなじこと言ってた気がするよ!?
「百面相しているところ悪いが、聞きたいことがある」
「は、はい?
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