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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
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第三十八話 歪んだ世界
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のつもりで出来るだけの笑顔にしたんだけど……きっと僕の今の顔は引きつっているんだろうな。



 それから数日が経ち、買い物当日になった。
 奇しくも、その場所は一年前に楯無さん達とも水着を買いに来たショッピングモール『レゾナンス』だった。ここは交通網の中心にあるおかげで地下鉄やバスの便も充実しているし、和洋中を網羅したレストラン街や、老若男女のあらゆるジャンルを全てカバーする幅広い品ぞろえを誇る専門店街がある。そのあまりの充実ぶりたるや『ここで無ければ市内のどこにも無い』と言わしめるほどで、自然と学園の生徒の利用率が高くなるから被るのも当然かもしれない。

 そんなことを考えながら簪さんと一緒に部屋を出て待ち合わせ場所に向かうと、既にそこには鈴さんとオルコットさんがいた……のだが、何故か織斑君にデュノアさん、さらには箒さんやボーデヴィッヒさんまでいる。巷で織斑ファミリーなんて言われているメンバーが勢揃いだった。

「おはようございます、お待たせしました」
「……おはよう」

 予想外のメンバーに少し面食らったものの、そういえば去年もいつの間にかみんなが合流していて大所帯になっていたなぁ、と僕はすこし懐かしい気分になりつつ挨拶をする。
 一方の簪さんはいきなり人数が増えてしまったことで少し気後れしたのか声に力が無い。
 
 みんなそれぞれに挨拶を返してくれる中、箒さんは浮かない表情だ。
 僕と一緒なのが嫌なのかな、なんて考えていると鈴さんがこちらに寄ってきて何やら耳打ちしてくる。

「ごめんね、紫音さん。本当はセシリアだけ誘ったはずだったんだけど……話しているのを一夏に聞かれちゃって。しかも、一夏は一夏で箒と行く予定だったみたいで断る訳にいかないでしょ? そしたらシャルルやラウラまで声かけてこんな状態よ……」
「ふふ、せっかくの外出ですしたまにはいいんじゃないでしょうか。ね、簪さん」
「……そう、ですね」

 織斑君の性格を考えると、なんとなくこの状況にも納得してしまった。
 鈴さんも、織斑君と箒さんが二人で買い物に行くのを見過ごすのが嫌だったんだろう。箒さんが不機嫌なのは、もしかしたらデートを邪魔されたような気分になっているのかもしれない。
 でも箒さん、きっと僕らが合流しなかったとしても、彼ならきっとデュノアさんを連れていったと思うよ……うん。だから申し訳ない気はするけど、そんなに睨まないでほしいな。

「シャルルは水着買わないんだっけ? 二人しかいない男子なんだし、せっかくだから一緒に選ぼうと思ったんだけどなぁ」
「え!? あ、そ、その。そうだね、僕はもう用意してあるから、大丈夫だよ!」

 ……若干、織斑君がデュノアさんに近すぎる気がする。男同士で水着買いになんてそうそう行かないよね? 本人は
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