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第三十八話 歪んだ世界
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思う。
いろいろと問題が起こったトーナメントだけれど、結果だけを見れば簪さんやボーデヴィッヒさんとの和解もあったり、楯無さんともより仲良くなれたりと良いことも多かった。
これでしばらくは安心できると思ったのだけれど……。
「ねぇ、紫音さんと簪も一緒に水着買いに行かない?」
今、僕は鈴さんに買い物に誘われている……しかも水着の。
というのも、僕ら一年生はもうじき臨海学校がある。そこでは特に水着を指定されていないため、それぞれが好きな水着を持って行く。良い機会だからと新しい水着を買いに行く人も多いみたいで、僕のクラスでも同様の話題が多かった。
「えっと、それはもしかして織斑君も一緒に?」
「あ〜、いや。さすがに男子と一緒に水着選ぶのはまずいでしょ? ま、まぁ私としては一夏に選んでもらうのも構わないっていうかむしろ嬉しいんだけど、紫音さんとかセシリアとかの水着姿を見せるのは……」
なにやらブツブツと言っている鈴さんだが、どうやら今回、織斑君は一緒ではないらしい。あ、ということはデュノアさんもか。そういえば、彼女水着はどうするんだろう……いや、僕も束さんが以前に用意してくれた水着が無かったら危なかったんだけれど。
「私、実はもう水着は用意してありまして……ただ、旅行に必要なものは買いに行こうと思っていました」
「あ、うん。水着だけじゃ無くてそういったものも買いに行く予定だから」
「そうですか、でしたらご一緒させてください。簪さんも一緒に行きましょう?」
「……はい、行きます」
本当は行くのは躊躇われた。だけど、僕が行かなかったらなんとなく簪さんも行かない気がした。
事実、僕が誘っても少し迷ったような素振りをしていた。せっかく鈴さんが彼女も誘ってくれたのだし、彼女の交友関係が広げる良い機会だ。クラスでは今までの素っ気なかった態度もあってか、急に仲良くなろうとするのが躊躇われるみたいだし、その点では鈴さんと一緒なら幾分かは気が楽だろう。
「それじゃ決まりね! ん〜、なんだか臨海学校って楽しみね。あれ? そういえば、紫音さんって去年も参加したんだっけ?」
「いえ、ちょうどその直前にテロに巻き込まれまして……」
「あ……そっか。ごめん」
本当に楽しみ、といった風だった鈴さんだったが、自身の失言でその表情が曇った。でも、僕自身はそれほど気にしている訳では無い。
「いえ、だから私も楽しみなんですよ。それに、留年も悪いことばかりでは無いです。鈴さんや簪さんともこうして出会えたんですから」
「あ〜、う〜。その笑顔でそんな台詞は卑怯じゃない。男だったら一発で落ちるわよ……簪もそう思うわよね」
「……ん」
せっかくイベントを楽しみにしている鈴さんに水を差すのが嫌だったから、フォロー
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