水の巫女の再来・後編
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た、シーフだからって二人を盗んだんじゃ……っ」
「ちょっとルーネス、何云ってんのよ……! てゆうか、どうなってるのここ、人が止まって……? 気味悪いんだけどっ!」
「空気の流れや生活音を感じないのが不気味だね……。そこのシーフさんは動くし喋れるみたいだけど────何なんですか、ここは?」
「シンキロウの町だってば。次元の狭間に呑まれて時が止まってんですよ。……オレは動けますよ? 元々この町の住人じゃあないし」
3人の少年少女の疑念にしれっとしたシーフの青年。
「おいあんた、おれの質問に答えろっつの!」
「云いがかりはやめて下さいよー。オレこの町丸ごと盗んでますけど、二人の金髪美男美女さんは町の外行っちゃいましたからねー。
キミ達より先に気が付いたんですぜ? 美少女さんがねー、いきなり町の外行っちゃうもんだから、美男子さんの方はおナカマ起こすより先に追っかけてっちゃった訳ですわ」
「───イングズの奴、おれにはいつも先走んなって云ってんのに、自分がそうしてるじゃんか……!」
「彼女を見失わない為だったんでしょうけど、それでもあたし達起こしときなさいよねっ」
「戻って来ないって事は、何かあったんじゃないかな……?!」
ルーネス、レフィア、アルクゥの心配をよそに、シーフはのんびりと話し続ける。
「───この町の外は深い森になってましてねぇ、視界も悪いし迷いの森ってヤツですよ。しかもですぜ? その奥にはでっい"タマオンナ"がいるんですよー! 危険ですぜーって云おうとしたんですがね、オレには気づかず行っちゃいましたねーお二人さん」
「……行くぞアルクゥ、レフィア! こんなシーフほっといて、エリアとイングズ追っかけねーと!!」
「うん……!」 「……えぇ!」
「あーらら………親切に教えたのに、お礼もナシに行っちゃうんですねー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
サイズが人の3倍くらいはあろうかという妖艶なタマオンナ………。自らより少し小さいとはいえ、黄緑色の玉を大事そうに抱えているその女の化け物の肌は蒼白く、ほぼ裸体のようで妖しくも美しくもある。
────その"玉"の中に、儚き少女が取り込まれている。
ある青年が、いつも身に帯びている剣で独り救おうと試みるが、強力な魔力によるバリアに弾き返されるばかりか多彩な魔法とステータス異常を連発され、もう身体が云う事を聞かない。
………クリスタルから授かっていた力は、あの旅が終わってから既にクリスタル自体に還り、失っている。
ここに来て、どれだけあの力に助けられてきたかを痛感する。
その力にはもう、頼る事は出来ない。
────自分も、まだまだだな。あいつの事を、とやかく云える立場にない─
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