§56 矜持と家族
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あの他人が。家族ごっこは、そんなに楽しいか?」
「――――」
思考が、止まった。それはほんの一瞬。
「おいおい、情けねぇな」
「ぐっ!!」
その隙に殴りくる少年。彼の一撃は黎斗の五臓六腑を粉砕し、四肢を撒き散らし、遥か彼方へ吹き飛ばす。壁をぶち抜き、飛ばされた先は空。
「弱っ」
神殺しとは思えない耐久性に、予想外だと目を見開く少年。
「まぁ、油断してると返り討ちに遭うしな」
念を入れて眷属に遺骸を始末させようとすれば、足元が揺れた。
「一体何が――?」
直後に浮遊感。目まぐるしく回転する視界。ついで、崩壊していく壁と天井。
「……へぇ。滅茶苦茶やるね」
呟く少年の目の前には、完全に再生した黎斗がいた。
「精神攻撃かましてくるお前に言われたくない。そもそも事前連絡回してこの辺は一般人退避済みなんだよ」
「だからって、俺の居た場所を”フロア毎切断して”投げるか普通?」
それが、黎斗のとった手段。空中で再生したのち、ワイヤーで敵の居た階層のすぐ下を両断。あとは敵の居た階層から上をワイヤーで引っ張り放り投げ、叩きつける。
「そうしないと下の階の人質に影響でるからね。これで人質はいない。こっからが本番だ」
屋外となってしまった部屋の中で黎斗が宣言する。
「ほぅ。しっかし再生系の権能持ちか。ヒヒヒ、実に面倒くさい」
対する少年は、冷静そのもの。動揺する気配は微塵も無い。
「一つ聞きたい。何故、他人だとわかった?」
戸籍上も、本人との関係も手を回した。関係性に気付くことが出来るのは、須佐之男命達古老のごく一部位の筈だ。
「精神操作出来るのがお前だけだと思ってんのか?」
「お前――!!」
もう、やめだ。
「天より来たれ輝く御柱――――!!」
黎斗が聖句を唱えるたびに、増大する呪力が渦を描く。
「消し飛べ!!」
右手から放たれる必滅の光線。破滅を齎す輝きは目にした時点で回避は不可能だ。
「……ふっ」
「!?」
万象を消し飛ばす光線は、放たれると同時に、消滅する。黒に染まり世界を映さなくなる片目と共に、周囲に闇の帳が落ちる。夜が、始まる。
「……夜を強制的に作り出す権能?」
自問するが答えは否。もし夜を作り出して破壊光線を無効化したのなら、片目が失明する筈が無い。左目が光を失っているということは、間違いなく破壊光線を放つことは出来たということ。破壊光線は、範囲・威力共に他の追随を許さない。全カンピオーネを合わせても最上位に位置するであろう殲滅特化の権能だ。それを、いともたやすく無効化する。鏡の反射みたいな小
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